イタリア出身の女性絵本作家サラ・ファネリのコラージュ絵本!それは驚きと楽しさにあふれた未知の旅へと私たちを誘ってくれます。コラージュとは、様々な紙を切ってノリで貼り合わせるという手法で、ダダやシュルレアリスム芸術によって開発されたもの。それらの自由な精神を受け継ぎながら、ファネリのコラージュはさらにポップで、同時に優しい愛に満ちています。カラフルで美しい紙だけではなく、彼女の作品の素材となるのは、むしろ身近にありながら忘れられたものや、懐かしいものたち。古い写真や包装紙、ラベルや切符、地図、雑誌や新聞の切り抜きからおばあさんの手書きのメモにいたるまで…。そのままでは一見、何の意味も持たないように見えるものたちが、ファネリの魔法の手によって集められるとき、それらが生き生きと甦り、思いもかけなかったもうひとつの新しい世界がそこに生まれる。「コラージュはいろんな記憶の集まり」というサラ・ファネリの絵本は、だからこそ私たちに幸福な懐かしさや喜びを与えてくれるのです。
94年にデビュー作『ボタン』を出版以来、10冊以上の絵本を発表しているファネリ。近作『Pinocchio』では、オレンジ色の方眼紙を舞台にした楽しい表紙にはじまり、今までにないピノキオの楽しい世界が繰り広げられています。
えほんミュージアム清里開館10周年を記念する「サラ・ファネリの不思議な世界展」は、ファネリの魅力あふれる世界をご紹介する、ファン待望の絵本原画展。ギリシャ神話の怪物たちを描いた『Mythological Monsters』を始め、雑誌のイラストやタブローの作品など、絵本以外の仕事も多いファネリの世界をたっぷりとご紹介します。