池田記念美術館×箱根写真美術館　交流展「遠藤桂　富士山写真展」

　遠藤桂（えんどう　かつら）は神奈川県箱根町の出身の写真家。彼の祖父である風景写真家山田應水（やまだ　おうすい／明治13年－昭和39年）は昭和11年に岡田紅陽氏と連名で『国立公園写真集』（国立公園協会発行）を出版している。遠藤氏はその祖父から三代続く写真家の家に生まれ、前を歩く祖父や岡田氏の作品を見て育った。自らも同じ写真家の道を志すなかで遠藤氏は富士に自らのルーツを感じ富士山写真に取り組むようになる。そして岡田氏とは違う独自の世界を生み出した。彼の作品は多くが真夜中から明け方にかけて撮影される。深い静寂と闇の中、星明りと人工の明かりを受けて神秘的に浮かび上がる全く新しい富士の姿がとらえられ、そこには時空を越えた自然の壮大な美しさが表現されている。 　今回の展覧会では遠藤の富士山写真を中心に展示。併せて、偉大な先達岡田紅陽へ敬意を表し遠藤家に伝わる紅陽の資料と故郷新潟に伝わる作品を展示する。遠藤氏にとっては岡田紅陽の故郷新潟での個展をするということ自体が挑戦である。