「信仰」と「芸術」の関係は、旧くから人間造形表現の大きなテーマといわれてきました。ヨーロッパ美術における礼拝画、イコン画、典礼画の発生、アフリカ、インド等を中心とする信仰対象としての民具、装飾品、人形、面などの発展、また日本における仏教美術の歩みなどをみても、そこには人間の造形表現にもたらされた「信仰」というテーマの普遍性をみることができます。それはおそらく、人間の信仰体験と芸術体験が同じ想像力と精神的高揚によって紡がれる営みであるからなのかもしれません。
今回、当佐喜眞美術館、長野県の「信濃デッサン館」のコレクション作品にてそうした「信仰」と「芸術」の接点から生み出された自己表現、あるいは「信仰心」を通して表現された清廉なる作品の数々を俯瞰する展覧会を企画しました。どうかこれを機会に、「信じて祈る」営みと「自らを表現する」営みのはざまから生まれた美しい作品群にふれていただき、静かに思いを深めていただければ幸いです。
【展示作家】
◇シルビア・ミニオ=パルウエルロ・保田(「信濃デッサン館」蔵)
◇ウィリアム・ブレイク(「信濃デッサン館」蔵)
◇船越保武(個人蔵)
◇津田季穂(つだ・すえお)(個人蔵)
◇長谷川路可(個人蔵)
◇ケーテ・コルヴィッツ(佐喜眞美術館蔵)
◇ジョルジュ・ルオー(佐喜眞美術館蔵)
◇渡辺禎雄(佐喜眞美術館蔵)