上村松園、鏑木清方、伊東深水は近現代美人画を語る上では欠かせない、三巨匠と評される画家たちです。明治、大正、昭和という激動の時代を生きながら、京都、東京の日本画壇のトップで活躍し、それぞれの個性をもって当時の風俗、歴史、文学に登場する様々な女性像を描きました。
気品高く、優美で清澄な女性を描いた閏秀画家、上村松園<明治8(1875)~昭和24(1949)>、慎ましやかな日々の暮らしから、まるで一コマ切り取ったかのような、清潔で情感あふれる市井の女性を得意として描いた、鏑木清方<明治11(1878)~昭和47(1972)>、清方の門下にいながら、洋髪、洋装のモダンガールなど、より現代的に、エネルギッシュで健康的なほんのり色気の漂う女性像を描いた、伊東深水<明治31(1898)~昭和47(1972)>。
表現のちがいはあるものの、主人公の女性たちにそそがれる愛情ある眼差しは、卓越した筆致によって描きだされる、髪の一筋、指先にまで浸透して、その魅力を存分に引き出しています。外面の美しさのみならず、溢れ出る内面の美しさも感じられ、観る者の心を清々しい気分にさせてくれます。
これぞ日本女性の美しさです。
本展は、美人画は名都美術館の所蔵品の中でも、特に重要な、中心となるコレクションです。このように多数の作品を一堂にご覧いただくことはなかなかできません。“名都美術館の美人画コレクション”も、合わせてお楽しみ頂ければ幸いです。