本展は「第26回国民文化祭・京都2011」に協賛して開催されます。当美術館の地元、大山崎町では「大茶会」を国民文化祭のメインテーマとしていますので、茶会での「おもてなし」を自由な展示で表現し、千利休の茶の心である“一期一会”の空間をつくり、新たな楽しみ方を試みます。
当山荘は、かつて、様々な人々をもてなした場でした。また、大山崎町には、千利休が山崎の合戦の折に建てたとされる茶室「待庵(たいあん)」(国宝)が移築、保存されています。こうした茶とおもてなしの歴史や文化に彩られた大山崎の地にふさわしく、山荘おもてなしの歴史を紹介しながら、当美術館ならではのおもてなしの席を設えます。
本展では、茶器はもちろん、近代絵画、彫刻などの様々な作品をも組み合わせて、「大山崎山荘の茶会」と見立て、「大山崎山荘のおもてなし」を演出します。利休によれば、茶会とは一期一会の場であり、一生に一度の出会いの場です。大山崎山荘での一期一会をお楽しみいただきます。
茶の展示には、二人の芸術家に焦点をあて、それぞれにちなんだ斬新な見立てをご紹介します。ひとりは、大山崎で茶会を開き、「待庵」を残し、わび茶を完成させた千利休です。もうひとりは、当美術館所蔵の名画《睡蓮》を描いた印象派の巨匠、クロード・モネ。パリ郊外ジヴェルニーの自宅に池のある日本風庭園をつくり、睡蓮を育て、これを描き続け、睡蓮の絵画に囲まれた部屋で、人々が安らぎを感じることを期待しました。
利休にちなんだ展示では、茶器とともに、アルベルト・ジャコメッティの彫刻を組み合わせて、新旧の名品の間の緊張感を引き出します。モネにちなんだ展示では、絵画《睡蓮》と河井かん次郎《海鼠釉片口(なまこぐすりかたくち)》など日本の陶器を組み合わせて画家の愛する日本の自然を表現し、安息の空間をつくり出します。