あなたの肖像-工藤哲巳回顧展

    国立国際美術館 | 大阪府

    「あなたの肖像」は、工藤哲巳が最も好んで使用した題名のひとつです。「あなた」とは、作品をご覧になるあなたのことであり、既成の価値観や約束事に縛られた私たちのことです。と同時に、自作の最初の観客である工藤自身をも指します。それはまた、今なお制御不能な状態が続く放射能による環境汚染から逃れられない人類の肖像でもあるのです。  眼球や鼻がトランジスタとともに養殖され、肥大化した大脳が乳母車に乗せられ、男性器が小魚と一緒に水槽内を泳ぎ、遺伝染色体による綾取りをする人物が鳥籠の中で瞑想するなど、工藤の作品はおぞましく不気味に見えるかもしれません。それは、悲惨な未来の地獄郷でしょうか。いやそうではなく、そのようにしか生き残れない人間と自然とテクノロジーとが渾然一体となった、逆説的なパラダイスにほかなりません。 工藤哲巳(1935-1990)は、大阪に生まれ、少年期を父の出身地青森で暮らし、1945年に父が早世した後、母の郷里岡山で高校までを過ごしました。東京藝術大学在学中から、戦後の前衛美術の牙城であった読売アンデパンダン展に出品し、篠原有司男や荒川修作らとともに「反芸術」世代の代表格となりましたが、1962年に国際青年美術家展での大賞受賞を機に、渡仏しました。その後、約20年、パリを本拠に、ヨーロッパを活動の場として、文明批評的な視点と科学的な思考とを結びつけた独自の世界を展開しました。 没後、国内では1994年に国立国際美術館(大阪)で「工藤哲巳回顧展−異議と創造」が開かれましたが、近年、国際的にも再評価の気運が高まっています。2007年にはパリのラ・メゾン・ルージュで個展が開かれ、2008年から翌年にかけてはアメリカのウォーカー・アート・センターで大規模な回顧展が実現し、工藤の仕事がアメリカで初めて本格的に紹介されました。 今回の回顧展では、初期の絵画から、鳥籠や水槽などを使った多彩なオブジェやデッサン、1994年の回顧展では紹介できなかったデッキチェアや乳母車を用いた1960年代半ばの充実した作品群、さらにハプニングやパフォーマンスの記録写真や関連資料をふんだんに盛り込んで展示します。国内所蔵の作品をほとんど網羅するほか、アムステルダム市立美術館、ウォーカー・アート・センター、ゲント現代美術館(S.M.A.K.)、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターなど、日本初公開作品を含む海外からのコレクションとともに、工藤哲巳の30年余りにわたる活動を包括的にご紹介します。
    会期
    2013年11月2日(土)〜2014年1月19日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00 (入場は16:30まで)
    金曜日・土曜日は20:00まで(入場は19:30まで)

    ※7~9月の金曜・土曜は21:00まで(入場は20:30まで)
    ※開館時間は臨時に変更する場合があります。
    料金
    一般 850(600)円/大学生 450(250)円
    ※団体は20名以上
    ※高校生以下、18歳未満、心身に障害のある方とその付添者1名は無料(証明できるものをご提示いただく場合があります)
    ※無料観覧日 11月3日(日祝)
    休館日 月曜日および年末年始(12月28日(土)~1月4日(土))、ただし、11月4日(月)、12月23日(月祝)、1月13日(月祝)は開館、11月5日(火)、12月24日(火)、1月14日(火)は休館
    公式サイト http://www.nmao.go.jp/
    会場
    国立国際美術館
    住所
    〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-2-55
    06-6447-4680(代)
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