｢見晴らす展｣日本のけしきを彫る人 田中圭介

田中圭介の木彫が創り出す「けしき」に分け入る時、木の香りに鼻をくすぐられ、誰しもビルが林立する都会にいることを忘れてしまうでしょう。田中の一刀一刀が浮き彫りにする世界は木材がかつて生きていた姿を、空に向かうように伸びていた息づかいを思い起こさせてくれます。 彼の手によって角材は再び樹々へ。あるいは草花や滝、山や雲となって新たないのちを輝かせていきます。 森を歩く時、人は無意識に深く呼吸する。全身が目や耳になったように、いつもより万物が鮮やかに感じられる。そんな研ぎ澄まされる感覚が蘇る心地よさを、銀座に現れる「森」で体験できる展覧会です