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    レポート
    日本国宝展
    東京国立博物館 | 東京都
    濃密な信仰から生まれた、日本文化の到達点
    重要文化財のうち、「世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」が、国宝。現在の有形文化財の国宝(1,092件)の1割強にあたる119件を紹介する、この秋最大の注目展です。
    国宝《普賢菩薩像》(展示期間:10/15~11/9)
    (左)《楓蘇芳染螺鈿槽琵琶》(展示期間:10/15~11/3)
    (右)《鳥毛立女屛風》から《第三扇》《第一扇》(ともに展示期間:10/15~11/3)
    (右から)《磁鉢》 / 《金銅花形合子》(ともに展示期間:10/15~11/3)
    会場 第3章「文学、記録にみる信仰」
    (左から)国宝《禅機図断簡 智常禅師図》因陀羅筆 楚石梵琦賛 / 国宝《禅機図断簡 寒山拾得図》因陀羅筆 楚石梵琦賛(ともに展示期間:10/15~11/9)
    国宝《阿弥陀如来および両脇侍》のうち、左から《勢至菩薩坐像》《観音菩薩坐像》
    国宝《文殊菩薩および眷属》快慶作 のうち、左から《仏陀波利立像》《善財童子立像》
    会場 第5章「仏のすがた」
    東京国立博物館で「日本国宝展」が開催されるのは、今回で4回目。これまでの1960年、1990年、2000年の3回は、それぞれ「文化財保護法」施行10年、40年、50年の記念事業として行われましたが、今回は「祈り、信じる力」をテーマに、濃密な信仰から結実した、日本文化の到達点を展観します。


    会場

    文字通り、会場には国宝が溢れるばかり。「全てが目玉展示」としか言いようがありませんが、あえて点数を絞ってご紹介いたしましょう。

    まず仏画からは、国宝《普賢菩薩像》。東京国立博物館が誇る至宝の一つです。数多い普賢菩薩像の中でも最高傑作と称され、平安仏画の中でも屈指の名品として知られます。近くで見ると衣には截金(きりかね:細い線状の金属箔)文様がはっきりと残り、800年以上前の繊細な表現に目を奪われます。


    仏画が並ぶ、第1章「仏を信じる」

    高さ5.5mという巨大な国宝は、《元興寺極楽坊五重小塔》。ただ、こちらは美術工芸品ではなく建造物として国宝に指定されているので、建造物の国宝としては最も小さな部類ともいえます。

    基壇から上まで心柱が通っており、古い多重塔と同様の構造。平安・鎌倉・江戸・昭和と何度か修理されていますが基本は奈良時代の制作で、当時各地に建立されていた諸寺の塔の雛形として使われた、という説が有力です。

    奈良・元興寺の本堂内部に、床板と天井を抜いた状態で安置されていました(現在は収蔵庫で管理されています)。


    国宝《元興寺極楽坊五重小塔》

    展覧会メインビジュアルの手をあわせる童子は、国宝《善財童子立像》。隣の国宝《仏陀波利立像》とともに、安倍文殊院(奈良県桜井市)の本尊である《文殊菩薩および眷属(けんぞく)》のひとつで、2013年に国宝に指定。彫刻分野では最も新しい国宝です。

    獅子に乗る文殊菩薩が、四人の侍者を従えて海を渡る「渡海文殊」の場面を表したもの。快慶がつくったことを記す銘文があります。善財童子立像には彩色の跡が残り、当時の面影がしのばれます。


    国法《文殊菩薩および眷属》快慶作 のうち、順に《仏陀波利立像》、《善財童子立像》

    絵画を中心に、会期中に展示替えされるものが多いので要注意(出品作品リストはこちら)。前期は10月15日(水)~11月9日(日)、後期は11月11日(火)~12月7日(日)ですが、11月3日(月)までは、東大寺大仏に捧げられた品々である正倉院宝物から11点が特別出品。11月21日(金)~12月7日(日)までは国宝土偶5件がそろい踏み、金印は11月18日(火)~11月30日(日)の12日間限定と、いつ見に行くか迷ってしまいます。

    東京国立博物館 平成館だけでの開催。本展の後、平成館は2015年6月までリニューアル休館となります(2階 特別展示室は4月下旬オープン予定)。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年10月14日 ]

    美術手帖10月号増刊 国宝のすべて

    美術手帖編集部 (編集)

    美術出版社
    ¥ 1,620

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■日本国宝展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2014年10月15日(水)~2014年12月7日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日 (ただし11月3日(月・祝)、11月24日(月・休)は開館、11月4日(火)、11月25日(火)は休館)
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://kokuhou2014.jp/
    料金
    一般1600円(1400円/1300円)、大学生1200円(1000円/900円)、高校生900円(700円/600円)
    中学生以下無料
    *( )内は前売り/20名以上の団体料金
    *障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
    展覧会詳細 日本国宝展 詳細情報
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