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    レポート
    市民からのおくりもの2018
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    2年分の「おくりもの」から、厳選公開
    ミュージアムの核ともいえる、コレクション。華やかな企画展が「顔」なら、コレクションは「身体」といえます。近年、収蔵されたコレクションを紹介する、江戸東京博物館では恒例の展覧会が開催中です。
    《筒茶碗 銘葛城》山岸会水・作 大西良慶・銘 1933年[全期間展示]
    《薩摩藩士仙波市左衛門日記》1853~1857年[全期間展示]
    (左から)《吉原細見図》1691年[4/8 展示替え済] / 《吉原新宅全図》1847年[全期間展示]
    (左から)《玄徳 壇渓を越える 下絵(柴田是真絵様手控類)》柴田是真・画 江戸末期~明治前期 / 《双鯉 下絵(柴田是真絵様手控類)》柴田是真・画 1886年 / 《釜に米を入れる大黒 下絵(柴田是真絵様手控類)》柴田是真・画 江戸末期~明治前期[すべて 4/8 展示替え済]
    《東京浅草寺幷二公園地両雲閣ノ高搭其他近傍吾妻橋遠景之真図》永島春暁・画、山崎暁三郎・版 1891年[4/8 展示替え済]
    《『日本』》日本工房・制作、国際文化振興会・発行 1938年[全期間展示]
    《裁縫雛型》1922年[全期間展示]
    (左から)《風船爆弾製造工場勤労動員寄書 跡見高等女学校》1945年 / 《風船爆弾製造工場勤労動員寄書 雙葉高等女学校》1945年[ともに 全期間展示]
    (左から)《家庭用小型氷削り器 ハイアイス M-2000》象印マホービン株式会社・製造 1968~1974年頃 / 《たばこ TOKYO 64 20本入り》日本専売公社・製 1964年[ともに 全期間展示]

    ミュージアムに新たに加わったコレクションの一端を披露する本展。昨年は珍しく開かれなかったため、今回は2年ぶんの収蔵品の中から、特に注目される作品・資料が厳選されました。


    展覧会は5章立てで、第1章「江戸の名所 亀戸梅屋敷」から。亀戸梅屋敷は、江戸の梅見の名所で、1910年(明治43)の水害で閉園するまで、多くの人々に親しまれました。


    歴代、梅園を管理していた安藤氏のご子孫から、梅屋敷の看板や江戸城出入りの鑑札など、貴重な資料が寄贈されました。


    ミュージアムのコレクションを形成する上で、購入と同じくらい大切なのが、寄贈。江戸東京博物館にも、毎年、数多くの品々が寄贈されています。


    大河ドラマで有名な天璋院篤姫に仕えた女性の父が書いた日記にも注目。篤姫の幼名は、ドラマでは「かつ」と呼ばれていましたが、「いち」である事が分かりました。


    第2章は「江戸の粋を描く 絵師たちの競演」。ここのイチオシは、幕末から明治にかけて活躍した蒔絵師・柴田是真の下絵コレクションです。本画にもひけをとらない下絵や手控え類は、近年、人気を集めている是真の研究を大きく進めそうです。


    歌川国芳、三代歌川豊国らの作品も展示されています。



    第3章は「ひろがる東京」。明治維新で、日本の首都になった東京。近代的な街並みに改造が進むのは、20世紀に入った頃からです。


    中央停車場と呼ばれていた東京駅が建設されたのも、この頃です。建設中の写真も展示されています。


    日本工房による「NIPPON」は、海外に向けて日本を宣伝するグラフ誌です。国策としての意図が強く反映されていますが、デザイン的なクオリティの高さは折り紙付きです。


    第4章は「『会水庵』ゆかりの茶器と近代の生活文化」。会水庵は、大正から昭和にかけて活動した茶人・山岸会水が建てた茶室です。展示されている自作の茶碗や書画などは、山岸会水の弟子筋の方から寄贈されました。


    あわせて、働く女性の資料も。可愛らしいミニチュア衣類は、裁縫学校で学び、後に裁縫教師になった女性が作った、練習用の服です。


    第5章は「風船爆弾工場の女学生たち」。太平洋戦争末期に開発され、偏西風に乗せた風船で米国本土を攻撃するというトンデモ兵器ですが、米国は化学兵器の搭載を恐れていたと言われます。


    寄贈されたのは、製造のために動員された女学生の寄せ書き。東京宝塚劇場が製造工場になっていました。


    この章では、戦時資料や、戦後の占領期や東京オリンピックに関する資料も展示されています。


    最後に、トリビア的なお話を。江戸博は東京都の博物館ですが、寄贈者は必ずしも都民に限りません。ご先祖が東京に縁があった、などで、寄贈元は全国各地。大切に守り伝えてきた方々の意図も踏まえながら、博物館として保存・活用を進めています。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年3月18日 ]



    会場
    会期
    2019年3月19日(火)~5月6日(月・休)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    ※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    3月25日(月)、4月1日(月)・8日(月)・15日(月)・22日(月)
    住所
    東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
    料金
    一般 600(480)円 / 大学生・専門学校生 480(380)円 / 中学生(都外)・高校生・65歳以上 300(240)円 / 中学生(都内)・小学生以下 無料

    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※中・高・大学・専門学校生は学生証を、65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方2名は、常設展観覧料が無料
    ※シルバーデー(3月20日、4月17日)は、65歳以上の方は常設展観覧が無料(要証明)
    ※家族ふれあいの日(4月20日・21日)は、都内在住の方で、18歳未満の子どもをお連れの保護者2名までの料金が半額
    展覧会詳細 市民からのおくりもの2018 詳細情報
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