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開館40周年記念 太田記念美術館所蔵 肉筆浮世絵名品展 ―歌麿・北斎・応為

■選りすぐりの肉筆画
都内でも数少ない浮世絵専門美術館として知られる太田記念美術館。1980年の開館から、ちょうど40周年を迎えました。記念の展覧会では、館蔵品から選りすぐりの肉筆浮世絵を紹介。葛飾北斎の娘・応為の名品も、約2年ぶりに公開されています。
約14,000点の所蔵品を有する太田記念美術館。東邦生命相互保険会社の社長を務めた五代太田清藏(1893~1977)が生涯に渡って蒐集した浮世絵が、コレクションの中核です。

博多随一の富豪だった四代太田清藏の長男として生まれながら、学生時代には同窓の児島善三郎らと絵画同好会「パレット会」を創設するなど、美術への造詣が深かった五代太田清藏。画家になる夢は果たせませんでしたが、美術への熱い思いを体現したのが、浮世絵の蒐集でした。

大学生の頃から浮世絵に関心を持っていた五代太田清藏ですが、20代後半に欧米諸国を外遊した際、浮世絵が欧米で高く評価されている事を実感。熱心に浮世絵の蒐集を進めていく事となります。

五代太田清藏は1977年に死去。それまで、コレクションはほとんど公開される事がありませんでしたが、遺族たちが美術館の設立を決意。1977年から銀座の東邦生命旧本社ビルの7階で約2年間の活動を続けた後、1980年1月13日、現在の地に太田記念美術館がオープンしました。



開館40周年を記念した本展は、肉筆画の名品を紹介する企画です。浮世絵の祖である菱川師宣からはじまり、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重などの著名絵師はもちろん、明治時代の小林清親や月岡芳年まで、計41人、63件の作品が並びます。

会場最初の畳のエリアに、早速注目の作品が登場します。葛飾北斎・応為の競演です。《雨中の虎》は、数え年90歳の葛飾北斎が没年に描いた傑作。《吉原格子先之図》は北斎の娘である応為の代表作で、ドラマチックに吉原の夜景を表現しました。

隣に並ぶのが、喜多川歌麿《美人読玉章》。吉原の遊女が、恋文を読みふけっている場面です。高位の遊女なのか、豪華な衣装につけられた紋から、越前屋の遊女、唐土(もろこし)がモデルとも言われます。

《二世瀬川菊之丞図》は錦絵の雄、鈴木春信の作品。春信の肉筆画は現存例が少なく、貴重な一品です。モデルはカリスマ的な存在だった人気の歌舞伎役者です。

展示室二階に進んで、窪俊満《雪梅ニ美人図》は、モノトーンのように見える作品。錦絵の「紅嫌い」の手法を取り入れたと思われますが、「紅嫌い」風の肉筆浮世絵は、あまり知られていません。

葛飾北斎《風俗三美人図》も、出色の名品です。寛成10年(1798)頃なので、北斎は40歳前後と若い頃の作品ですが、淡彩の付立(輪郭をかかずに描く技法)で描いた見事な美人図は、さすがに北斎といったところでしょうか。

覗きケースには扇も。太田記念美術館は、大阪の豪商・鴻池家旧蔵の扇絵コレクション900点以上も収蔵しています。

浮世絵版画が版元によるプロデュースのもと、絵師・彫師・摺師の分業で制作されるのに対し、肉筆画は絵師が自身で仕上げる一点物。おのずと、絵師たちの技量がそのまま作品に現れるのが魅力です。幸いにも太田記念美術館の展示ケースは奥行が浅目なので、じっくりと近くでお楽しみください。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年1月10日 ]


 
会場太田記念美術館
開催期間2020年1月11日(土)~2月9日(日)
所在地 東京都渋谷区神宮前1-10-10
TEL : 03-5777-8600
HP : http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
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