IM
    レポート
    メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年
    国立新美術館 | 東京都
    世界最大級の美術館、メトロポリタン美術館から珠玉の名画65点が一挙来日
    ルネサンスから19世紀まで、西洋絵画史500年を彩った巨匠の名画がずらり
    エル・グレコ、カラヴァッジョ、フェルメール、モネなど46点は日本初公開

    米国ニューヨークにあるメトロポリタン美術館。先史時代から現代まで5000年以上にわたる文化遺産150万点余を所蔵する、世界最大級の美術館です。

    同館ヨーロッパ絵画部門に属する所蔵品から、選りすぐりの名画65点(うち46点が日本初公開)を紹介する展覧会が、国立新美術館で開催中です。



    2022年 国立新美術館「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」会場入口


    展覧会は時代順の3章構成。第1章「信仰とルネサンス」からはじまります。古代ギリシア・ローマの人間中心の文化を理想とみなしたルネサンスは、15世紀から16世紀にヨーロッパ各地で隆盛しました。

    フラ・アンジェリコは、初期ルネサンスのイタリアを代表する画家。一点透視図法を用いて三次元空間を表現した最初の画家の一人で、キリストの磔刑場面を描いたこの作品も、空間の奥行きが表現されています。



    フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ)《キリストの磔刑》1420-23年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Maitland F. Griggs Collection, Bequest of Maitland F. Griggs, 1943 / 43.98.5


    エル・グレコは細長く引き伸ばされた人体描写など、独自の宗教画と肖像画で知られます。

    「羊飼いの礼拝」は、エル・グレコが得意とした主題。ドラマティックな明暗表現や大胆な筆遣いなどは、エル・グレコならではといえます。



    エル・グレコ《羊飼いの礼拝》1605–10年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1905 / 05.42


    第2章は「絶対主義と啓蒙主義の時代」。17世紀のヨーロッパは君主が主権を掌握する絶対主義体制が強まり、18世紀になると啓蒙思想が隆盛してきます。

    カラヴァッジョは、17世紀イタリアの最大の巨匠です。《音楽家たち》は26歳の時の作品で、滑らかな白い肌の若者たちは両性具有的。右から2番目の若者は、カラヴァッジョの自画像と言われています。



    カラヴァッジョ(本名 ミケランジェロ・メリージ)《音楽家たち》1597年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1952 / 52.81


    フェルメールは市民の日常を描いた風俗画が有名ですが、この作品は異例といえる寓意画。晩年に描かれた作品です。

    キリストの磔刑の絵画を背に、女性が胸に手を当てる仕草は心のなかの信仰を示し、地球儀を踏む動作はカトリック教会による世界の支配を示唆するものとされています。



    ヨハネス・フェルメール《信仰の寓意》1670-72年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 The Friedsam Collection, Bequest of Michael Friedsam, 1931 / 32.100.18


    第3章は「革命と人々のための芸術」。ヨーロッパ全土に近代化の波が押し寄せた19世紀。市民社会は大きく発展し、絵画の世界にも数々の革新がもたらされました。

    絵画史に大きな足跡を残したのが、ポール・セザンヌ。机は傾き、壁は歪んでいるように見えるその作品はあまりにも斬新で、当時の大衆には受け入れられませんでしたが、20世紀初頭の前衛芸術に大きな影響を及ぼしています。



    ポール・セザンヌ《リンゴと洋ナシのある静物》1891-92年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Bequest of Stephen C. Clark, 1960 / 61.101.3


    クロード・モネはジヴェルニーの自邸の庭に造った睡蓮の池を約30年間描き続けました。

    1915年頃からは「大装飾画」と呼んだ大画面の作品を次々と制作。白内障に侵されていたモネが見た不思議な光景は独特の作品として結実し、抽象表現主義の先駆けとして評価されています。



    クロード・モネ《睡蓮》1916–19年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Gift of Louise Reinhardt Smith, 1983 / 1983.532


    15世紀の初期ルネサンスの絵画から19世紀のポスト印象派まで、誰もが知っている巨匠の作品で西洋絵画の歴史を通覧できる豪華な展覧会です。

    コロナの影響もあり、海外の著名美術館から多くの西洋絵画が来日する展覧会は少なくなりました。西洋美術ファンにとっては、垂涎の展覧会といえそうです。公式サイトにもあるように、土日祝日および会期末は日時指定券の事前購入をお勧めします。

    ※主催の許可を得て特別に撮影しています。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年2月8日 ]

    フラ・フィリッポ・リッピ《玉座の聖母子と二人の天使》1440年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 The Jules Bache Collection, 1949 / 49.7.9
    ルカス・クラーナハ(父)《パリスの審判》1528年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Rogers Fund, 1928 / 28.221
    ペーテル・パウル・ルーベンス《聖家族と聖フランチェスコ、聖アンナ、幼い洗礼者聖ヨハネ》1630年代初頭/中頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Gift of James Henry Smith, 1902 / 02.24
    フランソワ・ブーシェ《ヴィーナスの化粧》1751年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Bequest of William K. Vanderbilt, 1920 / 20.155.9
    (左から)エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《ラ・シャトル伯爵夫人(マリー・シャルロット・ルイーズ・ペレット・アグラエ・ボンタン、1762-1848年)》1789年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Gift of Jessie Woolworth Donahue, 1954 / 54.182 / マリー・ドニーズ・ヴィレール《マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)》1801年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Mr. and Mrs. Isaac D. Fletcher Collection, Bequest of Isaac D. Fletcher, 1917 / 17.120.204
    (左から)オーギュスト・ルノワール《ヒナギクを持つ少女》1889年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 The Mr. and Mrs. Henry Ittleson Jr. Purchase Fund, 1959 / 59.21 / オーギュスト・ルノワール《海辺にて》1883年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 H. O. Havemeyer Collection, Bequest of Mrs. H. O. Havemeyer, 1929 / 29.100.125
    エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1890年頃 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 H. O. Havemeyer Collection, Bequest of Mrs. H. O. Havemeyer, 1929 / 29.100.42
    ポール・ゴーギャン《タヒチの風景》1892年 ニューヨーク、メトロポリタン美術館 Anonymous Gift, 1939 / 39.182
    会場
    国立新美術館
    会期
    2022年2月9日(水)〜5月30日(月)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日(ただし、5月3日(火・祝)は開館)
    住所
    〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
    電話 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト https://met.exhn.jp/
    展覧会詳細 メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    【公益財団法人札幌市芸術文化財団】 学芸員(正職員)募集中! [札幌芸術の森美術館 他]
    北海道
    【DIC川村記念美術館】学芸員・レジストラーを募集しています [DIC川村記念美術館]
    千葉県
    (公財)東京都人権啓発センター 契約職員(専門員)募集 [東京都人権啓発センター(東京都人権プラザ)]
    東京都
    【公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団】学芸員募集 [ポーラ伝統文化振興財団(品川区西五反田)141-0031 東京都品川区西五反田2-2-10 ポーラ五反田第二ビル]
    東京都
    熊本県 学芸員(考古学・3名程度)募集! [熊本県教育庁等]
    熊本県
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催まであと109日
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    東京国立博物館 | 東京都
    カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話
    開催中[あと40日]
    2024年6月12日(水)〜7月28日(日)
    3
    国立西洋美術館 | 東京都
    内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙
    開催中[あと68日]
    2024年6月11日(火)〜8月25日(日)
    4
    皇居三の丸尚蔵館 | 東京都
    第4期「三の丸尚蔵館の名品」
    もうすぐ終了[あと5日]
    2024年5月21日(火)〜6月23日(日)
    5
    SOMPO美術館 | 東京都
    ロートレック展 時をつかむ線
    開催まであと4日
    2024年6月22日(土)〜9月23日(月)