会場入口
京都国立博物館で「京(みやこ)に生きる 茶の湯」展が開かれています。大々的な茶の湯に関する展覧会は、32年ぶり!京都国立博物館では、3回目の展覧会になります。待望の展覧会です。
展覧会では、さまざまな京都ゆかりの名品の展示をはじめ、茶の湯文化を通史的に捉える章立てになっています。
黄金の茶室・わびの茶室対比
京都ゆかりの茶の湯の名品が一堂に!
茶碗の双璧と称される国宝の大井戸茶碗と重文の大井戸茶碗が少し離れたところに展示されているとはいえ、一つの展覧会で観ることができるのはほんとうに喜ばしいことです。国宝の大井戸茶碗は、松平不昧が、「天下の三井戸」と称した一椀です。重々しく堂々とした姿は圧巻です。
大井戸茶碗
桃山茶陶の代表作、国宝 志野茶碗は、造形、文様、色彩それぞれが絶妙な調和を作り出しています。志野の中でも品格ある茶碗だと言われています。
志野茶碗
そして、見逃してならないのは、なんといっても曜変天目茶碗です。ぜひ、楽しみにお出かけください。世界に三椀現存するうちの一つです。10/8~10/23のみの公開です。
喫茶文化との出会い
中国南宋時代の五百羅漢図、日本室町時代の清水寺縁起絵巻など、国や時代が異なりながらも、随所に描かれる喫茶の風景には、なにか心和むものがあるのと同時に、喫茶文化の関わりや広がりも垣間見ることができます。
五百羅漢
清水寺縁起絵巻
茶の湯文化の広がり
奈良時代に中国からもたらされた喫茶文化ですが、時代を経ながら、日本の社会に溶け込み、徐々に和様化していきます。町衆文化の隆盛のなか、日々の暮らしの道具を用いたわび茶が生み出されていきます。
国宝 観楓図屏風では、秋の京都、高尾で茶を楽しむ人々の姿が生き生きと描かれています。天秤棒に茶道具を備え、茶を売る行商を探してみてください。
観楓図屏風
利休と秀吉
千利休がめざしたわび茶は、信長や秀吉らを魅了しました。なかでも利休と秀吉の関係を抜きに、この時代の茶の湯を語ることはできません。
最初の画像は、復元された秀吉の「黄金の茶室」と、利休の「わびの茶室」が並んで展示されています。対極にあるように考えられることが多い「黄金の茶室」「わびの茶室」ですが、並んだ二つを見比べると、意外に違和感なく眺めることができるような気がします。
秀吉・利休肖像画
利休の肖像画は、長谷川等伯によって、利休没後4年を経て描かれたものです。利休の肖像画はほかに、利休存命中に描かれた唯一の肖像画も展示されています。
茶の湯の世界を堪能
茶の湯は、日本文化を象徴するものとして世界で認知されています。単に過去のものとしてではなく、いまに繋がる茶の湯の世界を展覧会では楽しむことができます。
前期・後期による展示替えもありますから、展示予定を参考に、楽しみにされているものをお見逃しなきように。あるいは、前期・後期をご覧になるのもおすすめです。
会場風景
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2022年10月7日 ]
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