2025年大阪・関西万博は多くの人々の心に感動を残して閉幕となりました・・かと思いきや、海外パビリオンで評判だったいくつもの出展品がまだ日本国内で見られるというニュースがチラホラ。
大阪市立美術館では間髪入れず、あの人気だったイタリア館の美術品が公開されるというのです!早速内覧会に参加してきました。

大阪市立美術館
大阪・関西万博のイタリア館は、「映像ではなく実物を見せる」という大切なコンセプトを持っていました。ミラノ、バチカン、ローマなどから本物の作品が来日し多くの人々を魅了すると、7時間以上並ぶ日も出現するなど大好評のパビリオンでした。

大阪・関西万博の開幕当初から賑わうイタリア館
この度始まった大阪市立美術館での特別展では、「ファルネーゼのアトラス」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アトランティコ手稿」より2点、ペルジーノの「正義の旗」がご覧いただけます。
まずは古代彫刻の最高傑作《ファルネーゼのアトラス》。アトラスは高さ193㎝の迫力ある大理石彫刻。 巨大な天球儀を頭上で支えるアトラス神は筋肉や血管に至るまで迫力満点ですが、実は発掘当時は顔と手足の一部が欠損した状態で、ローマ時代に造り込まれたとのこと。
また天球儀の浮彫はかなり正確な42の星座を示し、大阪市立科学館学芸員による詳しい解説パネルも設置されています。

《ファルネーゼのアトラス》(部分) 西暦2世紀 ナポリ国立考古学博物館

天球儀の星座解説パネル
次にペルジーノの《正義の旗―聖フランチェスコ、シエナの聖ベルナルディーノ、祈る正義兄弟会の会員たちのいる聖母子と天使》を鑑賞。旗は正義兄弟会の依頼で制作されたもので、宗教行列の際には旗を掲げて祈りを捧げたそうです。背景にはペルージャの丘の風景が描かれ、天使が舞います。顔だけの天使は位が高いそうです。

ペルジーノ 《正義の旗ー聖フランチェスコ、シエナの聖ベルナルディーノ、祈る正義兄弟会の会員たちのいる聖母子と天使》1496年ウンブリア国立美術館(ペルージャ) © Galleria Nazionale dell‘Umbria
そしてレオナルド・ダ・ヴィンチ手稿の2点が並びます。「アトランティコ手稿」は
2点とも本展のために新たに出品された日本初公開のもので、1119枚に及ぶ直筆の考察と素描をまとめたもの。万能の天才による科学・芸術などあらゆる思想を融合させたもので、今回は第156紙葉と第1112紙葉が出展されています。(これらは万博会場とは異なる紙葉)。
空想から実用化へのヒントが多く詰まっているのですが、文字が右から左に書かれた鏡文字になっています。これにはダヴィンチは左利きだったから?とかアイデアを盗まれにくいように?などの理由が考えられているとの説明もありました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 『アトランティコ手稿』展示風景

レオナルド・ダ・ヴィンチ 『アトランティコ手稿』第156紙葉 表 《水を汲み上げ、ネジを切る装置》1480-1482年頃 アンブロジアーナ図書館 © Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.

レオナルド・ダ・ヴィンチ 『アトランティコ手稿』(部分)第1112紙葉 表 《巻き上げ機と油圧ポンプ》(部分) 1478年頃 アンブロジアーナ図書館 © Veneranda Biblioteca Ambrosiana/Metis e Mida Informatica /Mondadori Portfolio.
こちらの衣装はティントレットの「伊東マンショの肖像画」に限りなく近く再現したもので、当時の縫製に技術と天然素材にこだわったものとのこと。さすがイタリア、私は素敵な靴に注目しました。

ティントレットが描いた肖像画で伊東マンショが着用した服と小物の史実に基づく職人的な復元
この他にもダ・ヴィンチゆかりのアニメーションや解説映像なども上映され、万博会場とは一味違う特別展となっています。万博で楽しんだ方も、私のように入場 を諦めた人もこれらのイタリアからの至宝に感動する機会をお楽しみいただきたいと思います。
ただし、既にチケットが完売となってしまったようですので今後の美術館からのお知らせに注目も必要です。
グッズ売り場にはイタリアらしいお菓子も並び、カラフルな空間でお買い物を楽しめます。ちゃっかりミャクミャクも片隅で顔を出していました!

《ファルネーゼのアトラス》展示風景 西暦2世紀 ナポリ国立考古学博物館

ミュージアムショップの様子
[ 取材・撮影・文:ひろりん / 2025年10月24日 ]