IM
    レポート
    夏目漱石の美術世界展
    東京藝術大学大学美術館 | 東京都
    文豪が愛した名画
    近代日本を代表する文豪の夏目漱石。その作中にしばしば絵画などが登場するように、自らも大の美術ファンでした。漱石をとりまく美術世界に焦点をあてた展覧会が、東京藝術大学大学美術館ではじまりました。
    ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《シャロットの女》1894年 リーズ市立美術館 &copy Leeds Museums and Galleries (Leeds Art Gallery)
    ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《人魚》1900年 王立美術院、ロンドン &copy Royal Academy of Arts, London
    ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《金枝》1834年 テイト、ロンドン ©Tate,London 2013
    ダンテ・ガブリエル・ロセッティ《レディ・リリス》1867年
    荒井経 酒井抱一作《虞美人草図屏風》(推定試作)2013年(奥)
    ジャン=バティスト・グルーズ《少女の頭部像》18世紀後半 ヤマザキマザック美術館
    日本画もずらり
    「装幀と挿画」
    「漱石自筆の作品」

    ロンドン留学中に数々の名画を見たことから西洋美術に入れ込むようになった漱石。また応挙や崋山、抱一などの名前も小説に登場するように、和洋を問わず漱石は広く美術に関心を持っていました。


    漱石と美術でまず思いつくのが、「坊っちゃん」に登場するターナー。英国を代表するこの巨匠の名前を、坊っちゃんで覚えた方も多いのではないでしょうか。


    ターナーの隣に並べられたのは、ブリトン・リヴィエラー《ガダラの豚の奇跡》。一転して知名度が低い画家ですが、「夢十夜」にこの絵のイメージが出てきます。豚がなだれをうって湖に落ちるこの絵を、漱石はおそらく留学中に実見していたのでしょう。


    ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《金枝》1834年 テイト、ロンドン ©Tate,London 2013 / ブリトン・リヴィエラー《ガダラの豚の奇跡》1883年 テイト、ロンドン ©Tate,London 2013


    ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスは、漱石がお気に入りだった画家のひとりです。


    アーサー王伝説を題材にしたウォーターハウスの代表作のひとつが、《シャロットの女》。鏡を通してしか世界を見ることが許されない彼女が、自らの運命に背いて凛々しい騎士を追いに行く場面です。


    漱石は短編小説「薤露行」で、シャロットの女の物語を書いています。


    ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《シャロットの女》1894年 リーズ市立美術館 © Leeds Museums and Galleries (Leeds Art Gallery)


    ウォーターハウスの作品からはもう1点、『三四郎』に登場する《人魚》もご紹介。三四郎と美禰子は画集のこの絵に引き込まれ、二人とも「人魚(マーメイド)」とささやきます。


    水辺で髪をとかす、少女のような美しい人魚。漱石がロンドンに留学していた1901年に、ウォーターハウスがアカデミーに認められることになった作品です。


    ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《人魚》1900年 王立美術院、ロンドン © Royal Academy of Arts, London


    本展では、漱石の作品に登場するものの実際には存在しない絵画を、東京藝術大学教員らが再現制作するという珍しい試みも行われています。


    そのひとつが、こちら。これも『三四郎』に登場する「原口画伯」の作品です。原口のモデルは黒田清輝と思われ、佐藤央育氏が『三四郎』を読み返しながら、黒田清輝風の作品を描きました。


    佐藤央育《原口画伯作《森の女》(推定試作)》


    本稿では油彩ばかりご紹介しましたが、酒井抱一の重要文化財《月に秋草図屏風》(展示は6月25日から)など、日本や中国の古美術なども出展されています。


    蛇足で付け加えると、漱石自身が描いた上手とはいえない絵画も展示されていますが、図録でもかなり厳しい解説。展示作品をけなす図録はあまり見たことがないので、ちょっと新鮮です。(取材:2013年5月13日)


    夏目漱石全集(全10巻セット)

    夏目漱石 (著)

    筑摩書房
    ¥ 9,660

    料金一般当日:1,500円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

    会場
    会期
    2013年5月14日(火)~7月7日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は午後16:30まで)
    休館日
    月曜日
    住所
    東京都台東区上野公園12-8
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.tokyo-np.co.jp/event/soseki/
    料金
    一般 1,500円(1,300円)/高・大学生 1,000円(800円)/中学生以下 無料
    ※()内は前売料金。2013年2月14日~5月13日まで販売。
    展覧会詳細 夏目漱石の美術世界展 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    大阪府立弥生文化博物館 学芸員(常勤・非常勤)募集中! [大阪府立弥生文化博物館]
    大阪府
    【2024年5月開館】「名古屋刀剣ワールド/名古屋刀剣博物館」正規学芸員を募集! [愛知県名古屋市中区栄3丁目35番43号(名古屋刀剣ワールド/名古屋刀剣博物館)]
    愛知県
    【DIC川村記念美術館】学芸員・レジストラーを募集しています [DIC川村記念美術館]
    千葉県
    しょうけい館(戦傷病者史料館) 学芸スタッフの募集 [しょうけい館(戦傷病者史料館)]
    東京都
    国立美術館本部事務局情報企画室 情報研究補佐員(情報システム管理担当)公募 [国立美術館本部 (東京都千代田区北の丸公園3-1)]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催まであと83日
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    SOMPO美術館 | 東京都
    ロートレック展 時をつかむ線
    開催中[あと71日]
    2024年6月22日(土)〜9月23日(月)
    3
    国立新美術館 | 東京都
    CLAMP展
    開催中[あと71日]
    2024年7月3日(水)〜9月23日(月)
    4
    東京国立博物館 | 東京都
    カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話
    もうすぐ終了[あと14日]
    2024年6月12日(水)〜7月28日(日)
    5
    お札と切手の博物館 | 東京都
    お札を創る工芸官の伝統技
    もうすぐ終了[あと1日]
    2024年6月11日(火)〜7月15日(月)