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    レポート
    琳派400年記念 琳派と秋の彩り
    山種美術館 | 東京都
    技法にも注目
    京都を中心に各所で開催されている「琳派400年」の記念展。東京の山種美術館でも琳派をテーマにした展覧会が開催中です。俵屋宗達をはじめとする琳派作品27点のほか、装飾性やたらし込みなど、琳派の特徴にも注目した構成です。
    (左)俵屋宗達[絵]、本阿弥光悦[書]《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》 山種美術館
    俵屋宗達[絵]、本阿弥光悦[書]《四季草花下絵和歌短冊帖》 山種美術館
    (左から)俵屋宗達《鹿に月図》 / 伝俵屋宗達《蓮池水禽図》
    (右)酒井抱一《月梅図》
    (右)重要美術品 酒井抱一《秋草鶉図》 山種美術館
    (右)鈴木其一《牡丹図》
    (右手前)速水御舟《秋茄子》 山種美術館
    (左から)小林古径《秌采》 / 荒木十畝《四季花鳥のうち「秋(林梢文錦)」》 ともに山種美術館
    (左から)山口蓬春《新宮殿杉戸楓 4分の1下絵》 / 福田平八郎《彩秋》 ともに山種美術館
    まずは琳派の源流といえる本阿弥光悦と俵屋宗達から。会場入口の《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》も、絵を宗達が、書を光悦が手掛けた合作です。

    本展では宗達の作品が5点(前後期あわせて)、伝宗達の作品が3点出展されています。「俵屋」を屋号とする絵屋を営んでいた宗達。琳派の立役者といえる存在ですが、その生涯は謎に満ちており、生没年さえ判明していません。


    第一章「琳派の四季」から、俵屋宗達の作品

    会場入口から右側の壁面に並ぶのが、酒井抱一の作品。展覧会メインビジュアルの重要美術品《秋草鶉図》も抱一による作品で、モチーフ(本作ではススキ)越しに月をあしらうのは、抱一が得意としたスタイルです。

    琳派の系譜として光悦・宗達、光琳・乾山に続くのが、抱一・其一。それぞれの間は約100年ずつ開いており、師弟関係ではなく私淑の関係で続いきました(抱一と其一は直接の師弟です)。


    酒井抱一の作品

    実は琳派の定義付けは簡単ではありません。ただ、画中に「たらし込み」があれば、多くの場合は琳派を意識したと見られています。

    最初の墨が乾かないうちに、濃度の異なる墨をのせる「たらし込み」(色が付いている場合もあります)。偶然にできる「にじみ」を活かすこの手法は宗達が得意とした事から、宗達を慕う後の画家たちにも広く使われるようになりました。

    会場では速水御舟、菱田春草、小林古径らの「たらし込み」を紹介。画面上のアクセントになったり、柔らかさを与えたりと、使い方にはそれぞれの個性が感じられます。


    第2章「琳派に学ぶ」から、たらし込み技法の数々

    展覧会後半には秋の情景を描いた作品が並びます。

    渓谷を彩る燃えるような紅葉を大画面で現した奥田元宋、秋景色の山を行く人々を描いた川合玉堂や小茂田青樹、そして柿や栗、柘榴など、秋の実りをしっとりと描いた作品。美しい日本の秋は、装飾性豊かな琳派の作風と相性が良い画題です。


    第3章「秋の彩り」

    琳派400年のメモリアルイヤーも、残すところあと3カ月。しっとりとした秋の風情を、お持ちの方はぜひ着物でお楽しみください(山種美術館恒例の「きもの割引」は、本展も実施中です)
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年8月31日 ]

    ※会期は後期に入っているため、一部の作品は展示替えされています。ご注意ください。

    「琳派」最速入門: 永遠に新しい、日本のデザイン「琳派」最速入門: 永遠に新しい、日本のデザイン

    竹内 順一 (監修), 名児耶 明 (監修), 安村 敏信 (監修)

    小学館
    ¥ 2,160

     
    会場
    会期
    2015年9月1日(火)~10月25日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館16:30まで)
    ※特別展の開館時間は変更になることもあります。
    休館日
    月曜日(但し、9/21、10/12は開館、9/24、10/13は休館)
    住所
    東京都渋谷区広尾3-12-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.yamatane-museum.jp/
    料金
    一般1200円(1000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。
    ※障がい者手帳、被爆者手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。
    [お得な割引サービス]
    きもの割引:会期中、きものでご来館のお客様は、団体割引料金となります。
    展覧会詳細 「【特別展】 琳派400年記念 琳派と秋の彩り」 詳細情報
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