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    レポート
    キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々
    パナソニック汐留美術館 | 東京都
    英国ボタニカル・アートが一堂に
    ロンドン南西部のキュー(Kew)にある、キュー王立植物園。2003年にユネスコの世界遺産にも登録された世界で最も有名な植物園は、22万点ものボタニカル・アートの所蔵でも知られています。厳選されたボタニカル・アートの他、植物から想を得たデザイン・工芸品など約150点を紹介する展覧会が、パナソニック 汐留ミュージアムで開催中です。
    会場デザインはクライン・ダイサム・アーキテクツが担当
    (左から)バシリウス・ベスラーの委託による《カーネーション(ナデシコ科)、3つの栽培品種、I—八重咲きの白色花;II—八重咲き弁片細裂の濃赤色花;III—八重咲きで紅紫色花》(『アイヒシュテット庭園植物誌』より) / バシリウス・ベスラーの委託による《I—白色八重咲きの花をもつバラ属の一種(バラ科);II—コミヤマカタバミ(カタバミ科);III—カタバミ(カタバミ科)》(『アイヒシュテット庭園植物誌誌』より)
    (奥)バシリウス・ベスラーの委託による《ヒマワリ(キク科)》(『アイヒシュテット庭園植物誌』より) / (手前)バシリウス・ベスラーの委託による《オオカンユリ(ユリ科)》(『アイヒシュテット庭園植物誌』より)
    (左から)フランツ・アンドレアス・バウアー《ゴクラクチョウカの一種(ゴクラクチョウカ科)》 / マーガレット・ミーン《トラデスカンティア・スパタケア、スパイダーウォート(ツユクサ科)》
    (右端)トマス・エレビー《ジョセフ・パクストンの肖像》
    (右端)フランソワ・ストルバン《ブロメリア・アガウォイデス(パイナップル科)》
    (手前左)ウィリアム・アーサー・スミス・ベンソン《オイルランプ》 / (手前右)ウェッジウッド社、トマス・アレン《審美様式のオイルランプ》
    (左奥上から時計回り)ウォルター・クレイン《『夏の女王、あるいは百合と薔薇の旅』》 / ケイト・グリーナウェイ《『窓の下で』》 / ケイト・グリーナウェイ、マイルズ・バーケット・フォスター《『子どもの一日』》 / ウォルター・クレイン《『花の饗宴』》
    (左から)ウィリアム・モリス《チューリップ》 / ウィリアム・モリス《サマードレス 〈イチゴ泥棒〉柄のテキスタイルによる》 / メイ・モリス《スイカズラ》
    18世紀半ばに開設された、キュー王立植物園。現在では毎年135万人もの人が訪れる国際的な観光名所です。

    展覧会は、英国のボタニカル・アートの流れを総覧するもの。第1章は「植物への夢と憧れ」です。

    自然に対する研究はルネサンス時代に始まりましたが、本格的に植物図譜が作られるようになったのは17世紀頃。『アイヒシュテット庭園植物誌』は出版された植物図集としては最古のもので、大型の図集に銅版画で描かれた植物が目をひきます。

    18世紀になると植物の研究はさらに発展、多くの優れた植物画家が活躍しました。中でも医師のロバート・ジョン・ソーントンが編集した植物図譜「フローラの神殿」は逸品。一流の画家を起用し、愛好家は「史上最美の一冊」と称賛します。


    第1章「植物への夢と憧れ」

    第2章は「世界の草花を求めて」。イングリッシュ・ガーデンで使われる植物の多くは、大航海時代以来、その美しさに魅せられたヨーロッパの人々が集めたものです。

    キャプテン・クックに同行したのが、植物学者のジョセフ・バンクス。昨年のこの時期にBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展」でも紹介されていました。バンクスは1773年に、同園の事実上の園長に抜擢されています。

    科学技術が進歩すると、園芸分野にも大きな変化が訪れます。板ガラスを用いて大型の温室を作ったのが、ジョセフ・パクストン。パクストンは温室設計のノウハウを活かし、1851年のロンドン万博では大規模なプレハブ建築も設計し、会期後は歴史的な建造物「水晶宮(クリスタル・パレス)」になりました。


    第2章「世界の草花を求めて」

    第3章は「花に魅せられたデザイナーたち」。植物から着想したデザインが紹介されます。

    「最初の産業デザイナー」ともいわれる、クリストファー・ドレッサー。デザイン学校の副科で植物学を学び、ガラス器・家具・テキスタイルなどに、植物をヒントにした独自のモチーフを使いました。

    大量生産される工業製品の品質に警鐘を鳴らしたウイリアム・モリスは、手仕事を見直すアーツ・アンド・クラフツ運動を主導。美しい植物模様のテキスタイルは、今なお高い人気を誇っています。


    第3章「花に魅せられたデザイナーたち」

    写真が発達した現在でも、記録という意味ではなくなったものの、ボタニカル・アートは描かれています。自然の植物は必ずしも写真家が求める姿・かたちになっていませんが、訓練を積んだ植物画家はその「種」の代表的な姿を表現できる、という利点も見逃せません。

    展覧会の最後は、キューの最古の温室植物である「エンケファラルトス・アツテンステイニイ」(絵は2000年頃)。1775年に南アフリカで採取されたものですが、今までに実をつけたのは1819年の1度だけ。幸いにもジョセフ・バンクスは、死の前年に見る事ができたそうです。


    第4章「エピローグ」

    展示室に建物と庭園が入ったようなユニークな会場デザインは、著名な設計事務所であるクライン・ダイサム・アーキテクツが担当。庭にちなんだ日(1/28、2/8、2/28、3/3、3/8)には、来館者全員に特製ぬりえもプレゼントされます。

    広島からはじまった全国巡回展で、パナソニック 汐留ミュージアムは8館目。次の京都展(京都文化博物館:4/29~6/26)が最終会場となります。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年1月20日 ]

    植物画の世界へようこそ―ボタニカルアート入門植物画の世界へようこそ―ボタニカルアート入門

    日本放送協会 (編纂), 日本放送出版協会 (編纂)

    NHK出版
    ¥ 2,500

     
    会場
    会期
    2016年1月16日(土)~3月21日(月)
    開館時間
    10:00~18:00(入館は17:30まで)
    休館日
    毎週水曜日
    住所
    東京都港区東新橋1-5-1パナソニック東京汐留ビル4階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://panasonic.co.jp/es/museum/
    料金
    一般 1,000円、65歳以上 900円、大学生 700円、中・高校生 500円、小学生以下 無料
    20名以上の団体 各100円割引
    展覧会詳細 キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々 詳細情報
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