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レポート
歌仙兼定登場
永青文庫 | 東京都
雅を好む武将の愛刀
細川家ゆかりのコレクションを有する永青文庫、その中核には膨大な数の武具があります。永青文庫の創設者・細川護立が蒐集した名刀や、忠興ゆかりの武器武具などを紹介する展覧会が開催中です。
国宝《刀 金象嵌名 光徳(花押)生駒讃岐守所持》 鎌倉時代(13世紀)
《脇差 銘 信長》室町時代(15世紀)、《黒塗刻鞘脇差拵》江戸時代(19世紀)
《御甲冑等之図(家中拝領品目録)》(図)松田次三兵衛・佐藤亀太郎(書)今村九八郎 文政10年(1827年)12月
手前)《紺糸素懸威置手拭形兜》 江戸時代(17世紀)、奥)《武蔵拵》 江戸時代(19世紀)
《三斎様御差 信長御刀之図》 安政6年(1859年)
左から)《草花蒔絵能管筒》、《葡萄唐草蒔絵能管筒》ともに江戸時代(18~19世紀)
左から)《霞桜文透鐔 銘 又七》、《桜九曜紋透鐔 銘 又七》ともに林又七 江戸時代(17世紀)
左から)《獅子図二所物》《仁王図目貫》ともに伝 横谷宗珉、《軍馬図小柄 銘 宗珉》横谷宗珉 江戸時代(18世紀)
展覧会のタイトルの「歌仙兼定」は肥後藩2代藩主細川忠興の愛刀。昨年から若い女性を中心に流行しているオンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」に登場する一振りです。

指定文化財ではない刀の名を冠する展覧会は極めて異例ですが、館長細川護熙さんの発案でこのタイトルに決まりました。

歌仙の名は忠興が家臣36人をこの刀で手打ちにしたという伝承から、三十六歌仙にちなんで名づけられました。短気であり、当代きっての風流人、という忠興のエピソードをよくあらわした命名ですが、36人を手打ちにしたというのはあくまで伝承。明確な資料は存在していません。

他にも国宝の太刀生駒光忠など、細川家に伝わる名刀が一堂に会します。

刀剣はその刃紋の美しさこそ鑑賞の肝。刃の向きなどの展示の通例に囚われず、最も美しく鑑賞できる向きで展示されています。


《刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定)》室町時代(16世紀)、《歌仙拵》江戸時代(17世紀)

利休七哲の一人だった忠興、その父幽斎も天下にその名を知られる超一流の文化人でした。

和歌の規範である「古今和歌集」の解釈の秘伝を相承する「古今伝授」。公家の三条西家に古今伝授を相伝するため、中継ぎをしたのは幽斎でした。関ヶ原の戦いで幽斎の居城が攻められた際、その秘伝が途絶えることを危惧した朝廷から、講和の勅命が下りました。その講和の記念に送られた《太刀 銘 豊後国行平作》は、現在国宝に指定され、3階の展示室最奥の展示ケースで見ることができます。


幽斎と古今伝授 会場風景


刀を彩る刀装具も、刀剣鑑賞の楽しみのひとつです。名刀・歌仙兼定は黒字に白の細かな斑点を散らした拵が特徴的で、肥後拵の規範となりました。

風流好みの忠興は多くの金工師を集めて指導し、肥後は刀装具の特産地として栄えます。鉄の細かな細工物が肥後鐔の特徴。細川家の九曜紋をモチーフにした鐔など、ぐっと近付いてご覧ください。


刀装具の世界 ─肥後金工と細川家─ 会場風景

展覧会は刀剣女子を中心に大好評。文京区のタイアップでスタンプラリーも開催中です。ゲームや大河ドラマなど、興味の入り口は様々ですが、本物を見ればさらに楽しめること間違いなしです。
[ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2016年7月8日 ]



■歌仙兼定登場 に関するツイート


 
会場
会期
2016年7月9日(土)~2016年10月2日(日)
会期終了
開館時間
10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日
10:00~16:30(入館は16:00まで) 休館日 毎週月曜日(但し7月18日、9月19日は開館し、翌日休館)
住所
東京都文京区目白台1-1-1
電話 03-3941-0850
公式サイト http://www.eiseibunko.com/
料金
一般:1000円(団体10名以上は900円)
シニア(70歳以上):800円(団体10名以上は700円)
大学・高校生:400円
中学生以下:無料
※障害者手帳をご提示の方およびその介助者(1名)は無料
展覧会詳細 歌仙兼定登場 詳細情報
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