IM
    レポート
    特別展「松島 瑞巌寺と伊達政宗」
    三井記念美術館 | 東京都
    1200年余で初めて、五大明王像が寺外で大公開
    厳島・天橋立とともに、日本三景の一つとして知られる松島(宮城県松島町)。松島の文化を支えてきた中心といえるのが瑞巌寺です。7年がかりで修復されてきた本堂(国宝)の修復が完了した記念と、伊達政宗の生誕450年を記念し、三井記念美術館で特別展が開催中です。
    重要文化財《五大明王像》「不動明王」瑞巌寺蔵
    重要文化財《五大明王像》 (左手前から)「降三世明王」 / 「金剛夜叉明王」 ともに瑞巌寺蔵
    重要文化財《五大明王像》 (左奥から)「大威徳明王」 / 「軍荼利明王」 ともに瑞巌寺蔵
    (左奥から)宮城県指定文化財《蘭渓道隆像》 / 宮城県指定文化財《法身性西像》 / 重要文化財(附)《瑞巌寺本堂障壁画 虎図》狩野左京筆 / 重要文化財(附)《瑞巌寺本堂障壁画 竹の鶴図》狩野左京筆 すべて瑞巌寺蔵
    国宝《瑞巌寺本堂彫刻欄間 花鳥図》瑞巌寺蔵 (左手前から)文王の間(中央)「鶴の巣籠り」 / 文王の間(右)「吐綬鶏」
    (左から)重要文化財《小紋染胴服》仙台市博物館蔵 / 重要文化財《黒羅紗地裾緋羅紗山形文様陣羽織》仙台市博物館蔵
    (左から)《梅小禽図》伊達政宗筆 / 《近衛信尋書状(伊達政宗宛 むさし野云々)》近衛信尋筆 仙台市博物館蔵
    (左手前から)宮城県指定文化財《伊達政宗甲冑倚像》 / 松島町指定文化財《陽徳院田村氏愛姫像》 ともに瑞巌寺蔵
    (左手前から)宮城県指定文化財《扇面図屏風》仙台市博物館蔵 / 宮城県指定文化財《鳳凰図屏風》狩野左京筆 松島町蔵
    伊達政宗が創建した、現在の瑞巌寺。寺としての歴史は古く、平安時代に遡ります。慈覚大師円仁が天台宗延福寺として開創、鎌倉時代には禅宗に転換して臨済宗円福寺に、室町時代には衰退していましたが慶長年間に伊達政宗が復興し、瑞巌寺と名を改めました。

    展覧会は瑞巌寺の至宝とともに、仙台市博物館が所蔵する伊達政宗関連の資料などを紹介する企画。瑞巌寺と仙台藩の歴史をひもといていきます。


    展示室1~2

    展覧会最大の見ものが、国の重要文化財に指定されている五大堂本尊の五大明王像。五大堂は瑞巌寺の門前からは少し離れた小島に建つ仏堂で、五大明王像は現地でも33年に一度しか公開されていない秘仏です(前回は2006年、次回は2039年)。寺外で公開されるのは五大堂の歴史上初めて、実に貴重な機会となりました。

    五大明王は不動明王を中心に、降三世(ごうざんぜ)明王、軍荼利(ぐんだり)明王、大威徳(だいいとく)明王、金剛夜叉明王(または烏枢沙摩(うすざま)明王)の5体。瑞巌寺の五大明王像は平安時代前期の作と見られる一木造り。内刳り(うちぐり:像の干割れを防ぎ軽量化を図るため、像内を空洞にする事)もありません。小ぶりではありますが、堂々とした佇まいです。


    重要文化財《五大明王像》

    展示室5には欄間がずらり。瑞巌寺本堂を彩る7面の花鳥図で、こちらは国宝に指定されています。

    掘ったのは「天下無双の匠人」と称された刑部左衛門国次(おさかべさえもんくにつぐ)。紀州の名工で、当地では仙台城本丸大広間の装飾彫刻なども手掛けています。

    孔雀や牡丹など吉祥のモチーフのほか、伊達家一門の詰所には鶴が雛に餌を与えている彫刻で一族の親和をあらわすなど、政治的な意匠も見られます。


    国宝《瑞巌寺本堂彫刻欄間 花鳥図》瑞巌寺蔵

    最後の展示室では、伊達政宗関連の資料を紹介。派手なデザインの陣羽織は、いかにも政宗のイメージにぴったりです。

    秀吉と家康の間で見事な立ち回りを見せて戦国時代を生き延びた政宗。優れた武将であると同時に、和歌や書で優れた才能を発揮するなど、文化人としても豊かな資質を持っていました。

    会場には目を引く等身大の木像のほか、正宗が描いた絵画《梅に雀図》(新発見)も展示されています。


    展示室7

    三井記念美術館は、根津美術館五島美術館とともに「三館合同キャンペーン」を今秋も開催中。本展と、根津美術館「円山応挙」(11/3~12/18)、五島美術館「平安古筆の名品」(10/22~12/4)の3展を対象に、半券提示で入館料を100円割引。3展とも行くと、1館の次回展が無料になります。詳しくは各美術館のサイトでご覧ください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年10月12日 ]



    ■松島 瑞巌寺と伊達政宗 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年9月10日(土)~11月13日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:00まで)
    休館日
    月曜日休館、9月20日(火)、10月11日(火)休館、ただし9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館
    住所
    東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/index.html
    料金
    一般 1,300(1,100)円/大学・高校生 800(700)円/中学生以下無料
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※70歳以上の方(要証明)は1,000円
    ※障害者手帳ご提示のお客様及びその介護者1名は無料
    展覧会詳細 「特別展「松島 瑞巌寺と伊達政宗」」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    肥後の里山ギャラリーの企画・運営担当者(学芸員) [肥後銀行本店 肥後の里山ギャラリー]
    熊本県
    【文化施設】荻窪三庭園・東山旧岸邸スタッフ募集! [荻窪三庭園 または 東山旧岸邸]
    東京都
    【公益財団法人 ポーラ伝統文化振興財団】学芸員募集! [ポーラ伝統文化振興財団(品川区西五反田)141-0031 東京都品川区西五反田2-2-10 ポーラ五反田第二ビル]
    東京都
    足立区立郷土博物館 事務補助員の募集(会計年度任用職員) [足立区立郷土博物館]
    東京都
    アサヒグループ大山崎山荘美術館 学芸員募集 [アサヒグループ大山崎山荘美術館]
    京都府
    展覧会ランキング
    1
    東京都美術館 | 東京都
    ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢
    開催中[あと98日]
    2025年9月12日(金)〜12月21日(日)
    2
    東京国立近代美術館 | 東京都
    ミュージアムで謎解きを ミュージアムラリー2025
    もうすぐ終了[あと14日]
    2025年8月6日(水)〜9月28日(日)
    3
    国立科学博物館 | 東京都
    特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜」
    開催中[あと29日]
    2025年7月12日(土)〜10月13日(月)
    4
    国立西洋美術館 | 東京都
    オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語
    開催まであと41日
    2025年10月25日(土)〜2026年2月15日(日)
    5
    国立新美術館 | 東京都
    ルーヴル美術館展 ルネサンス
    開催まであと360日
    2026年9月9日(水)〜12月13日(日)