
《土馬》 東有年・沖田遺跡出土
兵庫県赤穂市にある東有年・沖田(ひがしうね・おきた)遺跡(兵庫県指定史跡)から出土した、馬の土製ミニチュア。体長12㎝、体高7.5㎝。古墳時代後期後半(6世紀後半)の竪穴住居から出土した、日本でも最古段階の土馬である。
こうした馬形の土製品は「土馬(どば)」とよばれ、祭祀や祈祷に用いられたと考えられている。また、土馬は脚や体の一部が人為的に壊されて出土することから、生贄の代わり、または悪神や疫病神の乗り物である馬の脚を折ることで、「災いや穢れが訪れないように」との意味があるとされている。
日本では飛鳥時代(7世紀)以降にこうした風習が一般化し、最終的には現在広く用いられている「絵馬」を用いた祈祷へと変化していくといわれている。
東有年・沖田遺跡から出土した土馬はこうした祈祷の原形を示すものと考えられ、大変貴重な遺物である。
担当者からのコメント
全国の遺跡から出土する土馬は単純な形のものが多いですが、この土馬は体の筋肉の付き方や姿勢など、実際の馬の姿をよく観察し、忠実に表現しています。かわいらしい顔からも、この土馬を作った人は馬が大好きだったのではないでしょうか?