兵庫県神戸市に生まれた植松氏は、1970年代初め頃、東京の専門学校で油絵やドローイングを学びますが、やがて、自然の材質に惹かれ、より根源的な造形を求めていくうちに、大地とじかに繋がる「土」という素材に魅力を感じるようになりました。
そして、「何かを作るとか、表現する事ではなく、土を手に、押したり叩いたりして、手と目で土の表情を感じ、質を確かめる」という行為から、自ずと生まれ出ずるかたちをテーマに制作を始めました。
1975年に滋賀県甲賀市信楽町に移住し、製陶工場で勤務する傍ら、自らの創作活動を深めていきますが、1981年より野焼きを始め、1982年に三重県伊賀市丸柱に住居と仕事場を構えて、薪と灯油併用の窯を築きました。そして、周囲を森林に囲まれた豊かな自然の中で、様々な土の表情を引き出し、作域を広げていきました。
植松氏の作品には、いつも印象的な言葉が添えられます。それは、植松氏の世界観を表わすものです。飄々(ひょうひょう)と、しかし、鋭い視線で世界を見つめながら、今、自身が拠って立つ場所で、周囲の自然と呼吸を合わせながら生きていくこと。そして、そこで見たり、聞いたり、感じたりしたものを、土と言葉とでささやかに創出していくのが、植松氏の創造の世界なのです。
本展では、そのユニークな土との対話方法から、「土で表現すること」の意味を再考し、その新たな可能性を示唆するところを探ります。
陶芸、彫刻という枠でくくりきれない自由さと強さが、作品それぞれに備わっています。
「土という自然と対話し、作品を生み出していく」初期から一貫している植松の姿勢にハマってしまいました。