土田ヒロミ　作品展「砂を数える」

　土田氏は祭りやセレモニー、葬列などの“ハレ”の日にどこからともなく湧き出し集まってきた群衆を、全体として捉え、孤立させず、群れとしてあるがままの姿を写真に写しこみました。なぜ集まったかという目的をできるだけ排除し撮影した、目の前に広がる異様な空間。しかしそこに見えてくるものは、ぽっかりと空いた時間で手持ち無沙汰によそ見をする個人、あるいは、他人だらけの枠の中で街中にいるのと変わらないように友人とお喋りをしている普通の人であったりします。それは写真のこちら側から見ている私たちと何ら変わらない、一人一人の人間の寄せ集めでもあります。 　今回の作品展では、初詣に訪れた参拝客、平和記念公園での原爆死没者慰霊式典に参列した市民、原宿の街角でバーゲンセールの開場に並ぶ若者たち、そして大喪の日に記帳に並ぶ人々など、ドキュメンタリー写真家である土田氏が都市の中でみかけた人の群れだけを切り取った作品60～80点（全作品モノクロ）を展示します。