<ルーヴルのエジプトコレクション、日本初上陸!>
このたび、ルーヴル美術館の古代エジプトコレクションが日本で初めて本格的に公開されます。
このコレクションが、他にない輝かしい側面を持つことは意外に知られていません。19世紀、砂にうもれた古代エジプト文明を再発見し、知られざる過去に光を当てたのは、初代館長のドゥノン(1747~1825)をはじめ、ヒエログリフ(神聖文字)の解読者として有名なシャンポリオン(1790~1832)、カイロ博物館の前身を創設したマリエット(1821~1881)などルーヴルの学者たちの功績であり、このコレクションはその功績の足跡を示しているのです。
約55000点に及ぶ膨大なルーヴルのエジプトコレクションは、豊富さと質の高さとで名高いばかりか、ナイル川流域の古代人とその生活を再現するための世界的見地からも主要な情報源でもあります。本展覧会は、まず、エジプト学に多大な功績のあったルーヴルの学者たちにゆかりの遺物に、ついで彼らが解明した「古代エジプト人と生活」に焦点を定めて選りすぐりの名品、約200点を紹介いたします。
古代エジプト人の素顔はいかなるものだったのか?人々はどのように生活していたのか?「人」をテーマに、親子・夫婦の仲むつまじい家庭生活、職業、ファラオと神々の関係、死生観など様々な方面から当時の人々の人間像を探ることで、古代人の生活に迫り、その生き生きとした様子や豊かな精神性に触れていきます。それはまた、我々現代人が自らの人間像や生活をあらためて見つめ直すきっかけとなることでしょう。
ルーヴルの芸術庇護の精神は、熱意あふれる芸術家や学者たちが次第に移ろいやすいものしか生み出されなくなってしまった近代文明を直視し、確かな価値、永遠の価値を持つものに目を向けることで受け継がれてきました。永遠性を追求した古代エジプト文明は、まさに21世紀の人類の英知と文明のあるべき姿をあらためて問いただしているのではないでしょうか。このような観点からルーヴル美術館のエジプト学への功績も取り上げ、人類の文化遺産保護に対する先駆けとしても紹介いたします。