生誕110年記念　池田遙邨展

　倉敷ゆかりの日本画家・池田遙邨（1895-1988）は、京都画壇を代表する画家の一人として、日展を中心に活躍するとともに、旅を愛し、制作のために日本全国を歩きました。 　洋画家として出発後、日本画家に転身した遙邨は、西洋の絵画や大和絵、浮世絵など、様々な様式の絵画を意欲的に学び、作風の変遷を重ねます。 　やがて遙邨は、洒脱で機知に富んだ構図による風景表現という独自の画境に至り、最晩年には放浪の俳人・種田山頭火の句をモチーフとした≪山頭火シリーズ≫において、詩画一体の境地を開きました。 　本展覧会では、代表作、新発見作を含む約100点を一堂に集め、洋画家としての経歴の始まりから1950年頃までを第1部、1950年代から没年までを第2部として、美の旅人・遙邨の足跡をたどり、風景画家としての遙邨の魅力をご紹介します。特に第1部では、東海道徒歩写生旅行の成果である『昭和東海道五十三次』とその実景を、また第2部では≪山頭火シリーズ≫を大きく取り上げ、両者のつながりを検証することで、遙邨芸術の源泉である「旅」を浮き彫りにします。 　「旅に出ると沁々と自然が話しかけてくる」と語った遙邨。私たちが日々の暮らしの中で見逃してしまいそうな、自然の中の何気ない美を、旅人の眼差しで見つめ、描き続けた遙邨の詩情溢れる世界を、どうぞお楽しみ下さい。