「オランダの光」-それはフェルメールやレンブラントら17世紀オランダ絵画の巨匠たちが遺した傑作の源となった、独特の陰影を持つ同地の自然光のことと言われてきた。しかし現代美術家ヨーゼフ・ボイスは20世紀前半に行われたエイセル湖の干拓が地形に変化を及ぼしたため、その光が失われてしまったと指摘。果たして「オランダの光」は、本当に失われてしまったのだろうか?そして「オランダの光」とは、本当に実在するのだろうか?かくて触れる事のできない「光」を追い求めて、想像を越えるオデゥセイが始まった-
これまで誰も言及し得なかった「光」の存在を映像で探求する、まったく新しい形の知的エンタテイメントが誕生した。オランダを代表する映像作家デ・クローン監督率いる撮影クルーが、オランダ国内を始め南仏プロヴァンス地方や米アリゾナ砂漠にまで赴き、光を“採取”。また「真珠の耳飾りの少女」等のフランドル絵画とゴッホやモネらが他地域で描いた作品を並べ、対象を照らす光の違いを“比較”。さらには特殊な実験で光の有無を“証明”-と、あらゆる角度から「光」の謎を明かしてゆく様は圧巻だ。オランダの神秘的な自然や、名作絵画の色彩を表現するため採用されたフジフィルムによる究極の映像美も見逃せない。
監督:ピーター・リム・デ・クローン
脚本:マールテン・デ・クローン+ヘリット・ウィレムス
撮影監督:パウル・ファン・デン・ボス
編集:アンドレ・デ・ヨング+シール・ミュラー
音楽:ヘット・パレイス・ファン・ブム クリエイティヴ・コンサルタント:ヤン・アンドリーッセ
出演:ジェームズ・タレル(米現代美術家)ほか
2003年度オランダ映画