約一世紀ちかくにわたり、日本の美術界をリードしてきた二科展は、昨年まで東京都美術館と上野の森美術館にわかれて開催しておりましたが、今年からは東京・六本木の国立新美術館に会場を移し、同美術館の全館を使用して、絵画・彫刻・デザイン・写真の4部門すべての作品を一堂に
展示する総合美術展として開催いたします。
二十世紀の初頭から時代の最前線を歩いてきた二科会は、1914年の第1回展覧会以来、流派を問わず世界的視野での新しい価値の創造者の抜擢を信条としてきました。この間二科展では常に時代の新しい傾向を吸収して、多くの誇るべく芸術家を輩出し続けてきました。昨年は4部門あわせて約22,000点の作品応募があり、1,800名が入選者となっております。今年は、絵画・彫刻・デザイン・写真の4部門で、すでに3月より作品募集が開始されており、9月初旬には各部門の授賞作品が決定いたします。
今年の企画の大きな特徴の一つは“金曜ナイトミュージアム・ミニコンサート”。会期中の金曜日の夜(18:00~)に二科展会場でミニコンサートを開催いたします。9月7日(金)は、名曲「メリージェーン」で有名な“つのだ☆ひろ”、9月14日(金)には中国の伝統楽器である二胡の奏者“シューミン”とピアニスト”佐藤由里亜“の出演を予定しております。さらに9月5日(水)と9日(日)にはギャラリートークとして、二科展の作品を会員が解説いたします。
また、もうひとつの特徴に、二科展デザイン部による「触って観る」ポスターアートがあります。これ
まで美術館や美術展では、視覚に障害のある方が作品を鑑賞することは困難でした。今回の展示会では筑波技術大学の協力を得て、二科展デザイン部作品を視覚に障害のある方にも手に触れて鑑賞できるよう立体化(発泡コピーを使っての触図化)して展示するコーナーを設けます。一般の美術館ではタブーである作品に手を触れ「さわって観る」「さわって鑑賞する」という試みは、美術の新しい鑑賞領域でありユニバーサルアートといえるでしょう。
今年の第92回二科展は、美術の新しい中心地として注目を集める六本木に会場を移し、見応えのある二科展を開催する決意です。ぜひご期待ください。