天冠埴輪、中田装飾横穴・・・「古墳時代のいわき展」

　まるで母の胎内にある胎児のようなかたちの匂玉（まがたま）、写実性を備えながらも極度に単純化された埴輪群のさまざまな形状、さらには素朴と洗練を兼ね備えた三角や渦巻き状の装飾文様など、古墳時代の造形は千年以上の時を経た現代においても今なお新鮮で、刺激に満ちています。なぜこのような形状やデザインが生まれたのでしょう。古墳時代に生きた人々はどのような美意識をもっていたのでしょうか。 　いわき地方に点在するこの時代の遺跡の数々からは、匂玉や管玉などの装身具、土師器や須恵器、馬具、武器や武具、埴輪や陶棺などが多数出土しています。畿内との直接的交流も盛んな、豊かな地方だったと考えられています。本展ではその中からおよそ200点を選別して紹介し、この時代の造形を通して人々の美意識について考えます。