●「生きている化石」といわれるイチョウは、植物としてはその代表的なもので、世界に1種しか現存しない。
イチョウは古生代後期・ペルム紀の2億8000万年前頃よりソテツの仲間とともに出現し、中生代ジュラ紀に大繁栄して白亜紀中ごろまでは、世界中でごく普通に見られた植物であった。しかし、中生代末にはなぜか恐竜と共に滅んでしまい、その後は細々と新生代まで生き残り、広範囲に自生しているのは、中国と日本など限られるようになった。
●イチョウの葉の化石
イチョウの化石でもっとも古いものは、南フランスのペルム紀前期、日本ではペルム紀後期の岐阜県金生山から産出している。
イチョウ科には5属あり、原始型であるほど多叉葉で葉身が細く、大奥の裂片に分枝したバイエラ属がジュラ紀まであった。
その中でギンゴ属のみが、中央部の切れ込み二叉葉の単純な扇形となり、新生代から現在まで生息している進化型である。
現在もイチョウの樹幹から出た枝の葉は進化型、根元から出た若木の葉は原始型という珍しい木もある。
■県の木と銀杏
イチョウが指定樹になっているのは東京都、大阪府、神奈川県である。雌雄異株の裸子植物で、雄花の花粉が風に乗り雌花の胚種に受精し、秋には銀杏となる。
日本の街路樹ではイチョウがもっとも多く、全国で28万本以上といわれる。