特別展「心に宿る景　小野竹喬の世界」－笠岡市立竹喬美術館名品展－

　「小野先生はいつも新鮮で温かい。そして爽やかな風を私たちに送って下さった。道について「歩々清風を起こす」という言葉があるが、小野先生はまさにその道歩まれた画家であると思う。事実私は先生に逢うごとに清風を感じていた。 　先生は聡明で公平なお人であった。私も先生のように公平であらねばならぬと深く思う。私の生涯を最も大きく包んで下さった先生を思うと目頭が熱くなる。」とは晩年上村松篁が小野竹喬について語った言葉です。 　明治22年岡山県笠岡市に生まれた小野竹喬は、14歳で京都の竹内栖鳳に師事し、29歳の時に同門の土田麦僊や村上華岳、榊原紫峰らと共に国画創作協会を結成。西洋画と東洋画の融合を目指し、色彩豊かで高い精神性を加味した独自の風景画を確立し、その後南画や大和絵の表現を取り込んだ清廉高雅な画風へと到達しました。 　本展では、上村松篁も高く評価する小野竹喬の世界を笠岡市立竹喬美術館の名品約100点（前期・後期合わせて）でたどります。気品あふれる自然美を日本の風景に託して制作を続けた美しい世界をこの機会に是非ご覧ください。