—想いをか・た・ちに—「岳野博昭木芸展」

　岳野博昭（69）は…子供の頃からもの作りが好きだった、5人兄弟の次男、迷わず手仕事の道へ…と語る。大川で欄間彫刻修業、さらに佐世保で社寺彫刻を学ぶ。人と彫刻との出会いを求め無銭の九州の旅もする。天草では寺修行、南熊本では彫刻家松原祥雲師に会い、さらに鹿児島・宮崎・福岡へ。最後は太宰府で冨永朝堂に教えを請う。 　そして大川で独立。が、その後の時代の移り変わりは激しく、欄間彫刻から思いきって美術工芸家への道を模索する。美術展に出品し、批評され、恥をかき、またつくるを繰り返し、日展初入選を果たした。その歩んできた道のりで生まれた作品の数々は美術工芸家への苦闘の証のようである。木の素材を生かし、立体も平面もこなせる技能は、「用の美」はもちろんのこと、それでは収まりきれない発想が垣間見られ、今後の『想いをか・た・ちに』の仕事に飛躍が生まれそうな気配である。