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    レポート
    没後160年記念 歌川広重
    太田記念美術館 | 東京都
    風景画の浮世絵師・広重没後160年
    江戸時代後期に活躍した浮世絵師・歌川広重。安政5(1858)年に亡くなり、2018年は没後160年と節目を迎えます。それを記念し、広重の画業を振り返る展覧会が、太田記念美術館で開催中です。
    (左から)《東都名所 高輪之明月》 / 《東都名所 忍ヶ岡蓮池之図》1831年 いずれも前期展示
    《琉球人来貢図巻》1806年か 前後期展示
    (左から)《東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》1833年 / 《東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出》1835年頃か いずれも前期展示
    (左から)《東海道五拾三次之内 沼津 湖水図》 / 《東海道五十三之内 蒲原 夜之雪》1833年頃 いずれも前期展示
    (左から)《近江八景之内 矢橋帰帆》 / 《近江八景之内 比良暮雪》1834~35年頃 いずれも前期展示
    《東都領国納涼花火》1847~48年 前期展示
    (左から)《朝顔に鶏》 / 《月に雁》1832~35年 いずれも前期展示
    (左から)《枇杷に小禽》 / 《獅子の児落とし》1832~35年 いずれも前期展示
    《義経―代記之内 九回 五条の橋に牛若丸武蔵防弁慶を伏す》1833~36年 前期展示
    歌川広重は、安政5年9月6日に亡くなりました。毎年、墓所である東岳寺では法要が営まれています。

    太田記念美術館では、13年ぶりの開催となる大回顧展。広重の作品は同館の所蔵作品としては最も多く、本展では代表作である風景画をはじめ、花鳥画、美人画、肉筆画まで、選りすぐりの作品が紹介されます。

    展示作品の半数を占める風景画。美しい藍色や朱色で表現された空と、目の前を優雅に飛ぶ雁の群れ。また、日本橋の躍動感ある江戸の人々の様子は、観ているだけでその場にいるような気持ちになります。

    《東海道五拾三次之内 日本橋 行烈振出》は《東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》の版を新しく起こした変わり図。描かれている人数が増え、東海道の起点である日本橋の賑やかさが伝わってくる作品です。




    2階では、広重が描いた花鳥画が展示されています。

    背景を藍色にし、モチーフと漢詩、落款(らっかん)を白抜きした《枇杷に小禽》は、広重花鳥画の佳作。中華的な珍しい作風は、展示会場で目を惹きます。こちらは前期(9月24日)までの展示です。

    地下1階の展示会場では、武者絵や戯画を紹介。《義経―代記之内 九回 五条の橋に牛若丸武蔵防弁慶を伏す》は、牛若丸と弁慶が闘う場面が躍動的に描かれています。

    注目して欲しいのは、その背景。薄暗い夜の空は藍と薄墨を重ね、美しい満月はわずかに見える程度。二人の緊張感ある闘いが表現されています。

    総展示数は、200点以上。前・後期で全点展示が入れ替えられます。今回紹介した作品のほとんどは、前期のみの展示です。

    見た後には「広重って、風景画の?」というイメージが、変わるかもしれません。

    [ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2018年8月31日 ]

    広重 名所江戸百景 HIROSHIGE'S One Hundred Famous Views of Edo広重 名所江戸百景 HIROSHIGE'S One Hundred Famous Views of Edo

    太田記念美術館(監修)

    美術出版社
    ¥ 3,240


     
    会場
    会期
    2018年9月1日(土)~10月28日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:30~17:30(入館17:00まで)
    休館日
    9月3日、10日、18日、25日~28日 / 10月1日、9日、15日、22日
    住所
    東京都渋谷区神宮前1-10-10
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
    料金
    一般1,000円 / 大高生 700円 / 中学生以下 無料
    展覧会詳細 「没後160年記念 歌川広重」 詳細情報
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