今回のリニューアルでは、展示の構成が一新されました。日本全国の質の高い考古資料がそろうトーハク考古コレクションを活かし、壁面に沿った展示ケースをたどることで、通史をわかりやすく紹介しています。
展示室には旧石器時代の石器、弥生時代の土器など、歴史の授業で見たことがある作品が並びます。
入口では埴輪唯一の国宝である《挂甲の武人》がお出迎え、
展示ケースも見やすさを追求しています。映り込みが少なくなるよう、低反射フィルムや低反射ガラスを導入。照明もLED照明や有機ELを用い、細かなところまで見やすい展示環境を整えました。
独立の展示ケースでは、各時代のトピックス的な資料を扱います。土偶や勾玉など、それぞれの時代における特徴的な作品で、理解が深まる仕組みです。
中でも一番目を引くのが、埴輪の展示台。考古展示室のハイライトというべきコーナーです。露出展示台に並べられた埴輪たちは、ぐるりと回ってじっくりご覧ください。可愛らしい表情や、細かな造形をしっかりとみることができます。
ずらりと並んだ埴輪の展示台。露出展示で細かなところまでじっくり見ることができます。
トーハクの考古コレクションの特徴の一つが、充実した仏教に関する考古作品です。仏教伝来以後、飛鳥時代からの展示コーナーは、大幅に内容を変更しました。
注目は大きな石の板、板碑。板碑とは武士の台頭とともに関東を中心に作られた石製卒塔婆で、本格的な展示は今回が初めてです。
まとまって見ることの少ない中世以降の考古資料も豊富に展示されています。
まだまだ紹介しきれない充実のトーハク考古展示室。展示資料や特集展示の内容は、半年をめどに入れ替えていくそうです。
いままで考古資料をしっかり見たことがない、という方にもおすすめです。特別展だけではない、平成館のもう一つの見どころです。
[ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2015年10月5日 ]
■東京国立博物館 考古展示室 に関するツイート