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    レポート
    琉球 美の宝庫
    サントリー美術館 | 東京都
    災禍を免れた、王家ゆかりの品々
    1879年に沖縄県が成立するまで、400年以上にわたって“万国津梁(世界の架け橋)”として繁栄した琉球王国。中国や日本など東アジア各地の影響を受け、独自の美術が発達しました。琉球美術の染織・絵画・漆芸に焦点を当てた展覧会が、サントリー美術館で開催中です。
    (手前)国宝 琉球国王尚家関係資料《玉冠(付簪)》(復元)平成26年(2014)[展示期間:7/18~8/20、8/22~9/2は国宝《玉冠(付簪)》18~19世紀を展示] / (奥)国宝 琉球国王尚家関係資料《美御前御揃》15~18世紀[全期間展示] いずれも那覇市歴史博物館
    (手前2点)《黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃及び緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃》15世紀 個人蔵[全期間展示]
    (左奥から)《水色地窓絵流水桜模様裂地》 / 《黄色地牡丹蝶鳥に桐桜模様裂地》 ともに 19世紀 サントリー美術館 [展示期間:ともに7/18~8/6]
    (左奥から)《水色地霞に鶴鳥松梅楓模様衣裳》19世紀 サントリー美術館 / 《花色地遠山に菊模様衣裳》19世紀 沖縄県立博物館・美術館 [展示期間:ともに7/18~8/6]
    第2章「琉球絵画の世界」
    (左から)《程順則画像》18世紀 個人蔵 / 毛長禧(佐渡山安健)《仲田青毛之図》19世紀 沖縄県立博物館・美術館 [展示期間:ともに7/18~8/6]
    (手前)国宝 琉球国王尚家関係資料《朱漆巴紋牡丹沈金馬上盃》18世紀 那覇市歴史博物館 [展示期間:7/18~8/20]
    (左手前)《潤塗花鳥箔絵密陀絵丸形食籠》 / (右奥)《黒漆孔雀牡丹唐草沈金食籠》 ともに 18~19世紀 浦添市美術館[ともに全期間展示]
    (左手前)《朱漆山水楼閣人物箔絵東道盆》19世紀 個人蔵 / (右奥)《黒漆山水楼閣人物箔絵革箱》17~19世紀 サントリー美術館 [ともに全期間展示]
    1968年の展覧会を皮切りに、これまでも何度か沖縄に関する展覧会を開催してきたサントリー美術館。独特の魅力にあふれた琉球美術を、今回は4章とエピローグの構成で展観します。

    琉球の美術で最も良く知られているの、紅型(びんがた)ではないでしょうか。主に王族や貴族階層を中心に着用された染物で、型紙を使って模様を染め出します。モチーフに目を向けると、鳳凰や龍は大陸由来、松や桜は日本由来と、琉球の特徴が現れています。

    琉球絵画も、中国や日本美術の影響を受けながら発展しました。紹介されているのは、狩野安信が賞賛したという自了(和名:城間清豊)、首里王府の貝摺奉行所の絵師だった山口宗季(唐名:呉師虔)、山口宗季に学んだ宮廷絵師の座間味庸昌(唐名:殷元良)など。

    ただ、第二次世界大戦で琉球絵画は大きな被害を受けており、琉球絵画の全容については、今後の研究課題でもあります。


    第1章「琉球の染織」、第2章「琉球絵画の世界」

    展覧会の大きな目玉が「国宝 琉球国王尚家関係資料」。首里王府を治めた尚家に継承された貴重な文物で、沖縄唯一の国宝です。

    玉冠をはじめとした王装束は、中国からの使者「冊封使」を迎える際など重要な儀式で着用されたもの。現存する唯一の国王装束です。

    「国宝 琉球国王尚家関係資料」は、琉球王国が亡んだ後に、一部の文物が東京に移送されたものです。沖縄戦の被害を受けず、東京でも関東大震災や空襲から大切に守られたため、今日まで色あせる事なく伝わりました。

    最後は琉球漆芸。琉球にとって漆芸品は重要な輸出品で、貝摺奉行所による管理のもと、華麗な作品が数多く作られました。螺鈿や沈金など日本の漆器でもお馴染みの技のほか、漆と顔料をまぜた材料を貼って立体的に文様を表す、琉球特有の「堆錦(ついきん)」も見られます。


    第3章「琉球国王尚家の美」、第4章「琉球漆芸の煌き」

    「国宝 琉球国王尚家関係資料」の《玉冠(付簪)》は8/22~9/2に展示されるなど(他の期間は復元品を展示)、会期中は5回に渡る展示替えがあります。展示替リストは公式サイトでご確認ください。

    小・中学生とその保護者の方におすすめしたいのが、8月28日(火)の「まるごといちにち こどもびじゅつかん!」。展示室での「おしゃべり鑑賞タイム」や「びじゅつかんのひみツアー」のほか、6階のホールでは作品づくりも可能です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年7月17日 ]

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    昭文社 旅行ガイドブック 編集部 (編集)

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    ¥ 1,296

    料金一般当日:1,300円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2018年7月18日(水)~9月2日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    火曜日(ただし8月14日は18:00まで開館)
    住所
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    料金
    一般 1,300円/大学・高校生 1,000円/中学生以下 無料

    ※前売券および20名以上の団体は100円引き
    ※前売券は4月25日(水)~7月17日(火)まで各種プレイガイドで販売
    展覧会詳細 琉球 美の宝庫 詳細情報
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