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    レポート
    女・おんな・オンナ~浮世絵にみる女のくらし
    渋谷区立松濤美術館 | 東京都
    性も生活の一部です
    グラビアアイドルが、一般的な日本人女性とは異なるように、江戸時代の浮世絵美人画も、ある意味で特殊な例。実際には多様な階層の女性が、それぞれのくらしを営んでいました。浮世絵や資料から、江戸時代の女性像に迫る展覧会が、渋谷区立松濤美術館で開催中です。
    (左から)玉蘭斎貞秀《於竹》回向院 / 歌川豊国(三代)《見立 福人子宝冨根 弁財天》公文教育研究会[展示期間:ともに5/1まで]
    (左から)古山師政《踊りの稽古図》東京国立博物館 / 歌川国安《閨中道具八景 台子乃夜雨》神奈川県立歴史博物館[展示期間:ともに5/1まで]
    (左から)《寛文美人図》公益財団法人 摘水軒記念文化振興財団 / 懐月堂安度《黒地歌留多散らし衣裳の遊女》神奈川県立歴史博物館[展示期間:ともに5/1まで]
    (左から)《「かせんむすめはなくらべ」『一枚刷他貼交帖』より》国文学研究資料館[全期間展示] / ジョージ・スミス《Ten Weeks in Japan(日本における十週間)》国際日本文化研究センター[展示期間:5/1まで]
    (左から)《お歯黒道具》伊勢半本店 紅ミュージアム[全期間展示]
    (左から)歌川国貞(初代)《風流五節句之内 弥生》東京都江戸東京博物館 / 歌川房種《古代名所揃》足立区立郷土博物館[展示期間:ともに5/1まで]
    (左から)渓斎英泉《当世子宝十景 高縄の月見》公文教育研究会 / 歌川国芳《山海名産尽 紀州鯨》公文教育研究会[展示期間:ともに5/1まで]
    (左から)歌川豊国(三代)画・女好庵主人(松亭金水)作《『正写相生源氏』上巻》国際日本文化研究センター / 歌川国貞(初代)《『花鳥余情 吾妻源氏』上巻》国際日本文化研究センター[展示期間:ともに4/21まで]
    (左から)勝川春潮《好色図会十二候(正月)》国際日本文化研究センター / 勝川春潮《好色図会十二候(四月)》国際日本文化研究センター[展示期間:ともに4/21まで]

    美人画は浮世絵の定番ジャンル。美しい女性像は庶民の人気を集め、花魁から町娘まで、さまざまな女性が描かれました。


    ただ、それらは、あくまでも鑑賞される対象としての女性。実際は徹底した身分制度で人々は区分され、人々はそれぞれの立場で生活を営んでいました。


    展覧会では当時使われていた資料なども含めて、江戸時代の女性のくらしを紹介していきます。浮世絵に描かれなかった女性もいる事にも思いを馳せてくれれば、というのも、企画の趣旨のひとつになっています。


    会場は10章構成。地下の第1会場(1章~6章)では、女性の暮らしを彩ったものについて。2階の第2会場(7章~10章)は、女性の人生そのものに焦点を当てました。



    江戸の裕福な町人や名主の娘たちは、幼少期から琴、三味線、舞踊などを稽古しました。教養を身に付けて、武家屋敷に女中奉公に出るための下準備であり、良縁を得るための花嫁修業ともいえます。


    意外に思えるのが、茶をたてている女性の浮世絵が少ない事。茶は男性が楽しむもので、一般の女性に広まったのは明治以降です。


    展覧会のメインビジュアルは、喜多川歌麿《教訓親の目鑑 理口者》(東京都江戸東京博物館:展示は5/1まで)。寝ながら書物を読む女性で、江戸時代の識字率の高さも伺えますが、実は悪女として描かれたもの。本を読むような女性より、家事に優れた女性が良い、と説いています。


    最後の「色恋―たのしむ」は、春画が展示されています(18歳未満は禁止)。章タイトルは「ひめごと」の予定でしたが、春画の研究者で本展監修の石上阿希氏が「たのしむ」に修正したように、江戸時代の性は秘められたものではなく、生活の一部。現代では考えられないほど、オープンなものでした。描かれた女性も積極的で、男性と同じように性を楽しんでいます。


    浮世絵の展覧会なのでやむをえませんが、作品保存の観点から展示期間が限られます。本展は前期・後期のほか、A期・B期・C期と細かな展示替えを設定。会期通して136件、常時約90件が鑑賞できます。巡回はせず、松濤美術館だけでの開催です。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年4月5日 ]


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    ぴあ(編)

    ぴあ
    ¥ 994

    会場
    会期
    2019年4月6日(土)~5月26日(日)
    会期終了
    開館時間
    特別展期間中:午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)
    公募展・小中学生絵画展・サロン展期間中:午前9時~午後5時
    最終入館はいずれも閉館30分前までです。
    休館日
    月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館)、4月23日(火)、5月2日(木・休)、7日(火) ※臨時休館日にご注意ください。詳しくは館公式サイトをご覧ください。
    住所
    東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話 03-3465-9421
    公式サイト https://shoto-museum.jp/
    料金
    一般 1,000(800)円 / 大学生 800(640)円 / 高校生・60歳以上 500(400)円 / 小中学生 100(80)円

    ※( )内は10名以上の団体料金および渋谷区民の入館料金
    ※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
    ※毎週金曜日は渋谷区民無料
    ※障がい者および付添の方1名は無料
    展覧会詳細 女・おんな・オンナ~浮世絵にみる女のくらし 詳細情報
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