インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime

■逃れようがない、日常的な「死」
ポートレート、電球、衣類…。モチーフを組み合わせて、集団や個人の記憶、そして宗教や死にまつわる作品を発表してきたクリスチャン・ボルタンスキー(1944-)。独特の世界は高く評価され、現代のアートシーンを代表する美術家のひとりです。日本では過去最大規模の展覧会が、国立新美術館で開催中です。
第二次世界大戦の最中、解放されたばかりのパリで生まれたボルタンスキー。名前から分かるように父はユダヤ系で、告発から逃れるため隠れて生活するなど、複雑な境遇で育ちました。

13歳の時に作ったオブジェを兄に褒められた事をきっかけに、アーティストの道に進みました。当初は具象絵画を描いていましたが、限界を実感して断念。映画制作に方針を転換します。

1968年に短編映画と、映画で使った人形(ひとがた)を用いたインスタレーションを発表。翌年には兄が主人公を演じた《なめる男》《咳をする男》を制作しました。本展の会場冒頭では、この映像作品も紹介されています。

1970年代からは、写真を用いた作品を発表。1972年にはドイツのカッセルで開かれた国際現代美術展のドクメンタに参加し、国際的に活動していきます。

1988年の巡回展「暗闇のレッスン」は、ボルタンスキーの転機といえます。金属フレームに入った子どもの写真と白熱電球による〈モニュメント〉シリーズや、影絵の手法を利用した《影》など、今日のボルタンスキーを代表する作品が登場しました。



ボルタンスキーの作品は、しばしば「死」が感じられます。新聞の死亡告知欄に掲載された人の写真を集めた作品のほか、展覧会の会期中に電球が順に消え、最後には真っ暗になる作品《黄昏》も、死に向かっての時間を意味しています。

ユダヤ系という出自もあり、どうしてもその表現はホロコーストと結び付けたくなりますが、必ずしも一致していません。前述の新聞の死亡写真も、戦争や死のイメージからは遠い、スイス人の写真です。

虐殺のような特別な出来事ではなく、誰にでも必ず訪れ、逃れようがない日常的な「死」。静かな表現の中から、漆黒の闇が迫ってくるようです。

ボルタンスキーは、展覧会の会場全体をインスタレーションとして捉えています。今回も、高い天井高も含め、国立新美術館の広い空間を見事に使いました。ダイナミックな場面転換も、展覧会の大きな見せ場です。

日本でボルタンスキーは以前から人気が高く、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」には第1回(2000年)から参加。近年も2016年に東京都庭園美術館で個展を開催し、2006年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しています。

今夏の六本木は、現代美術の大型展が両立しており、ほぼ同時期に森美術館で「塩田千春展:魂がふるえる」が開催(6/20~10/27)されます。現代美術好きには、暑い夏になりそうです。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年6月11日 ]

※写真、映像はすべて「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」展 2019年 国立新美術館展示風景


料金一般当日:1,600円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

 
会場国立新美術館 企画展示室2E
開催期間2019年6月12日(水)~9月2日(月)
所在地 東京都港区六本木7-22-2
TEL : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : https://boltanski2019.exhibit.jp
展覧会詳細へ クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime 詳細情報
取材レポート
東京ステーションギャラリー「メスキータ」
メスキータ
森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」
塩田千春
江戸東京博物館「江戸のスポーツと東京オリンピック」
江戸のスポーツと…
国立科学博物館「特別展 「恐竜博 2019」
恐竜博 2019
国立新美術館「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」
ウィーン・モダン
東京国立博物館「特別企画 奈良大和四寺のみほとけ」
奈良大和四寺
小田原文学館「「坂口安吾」ができるまで」
「坂口安吾」展
渋谷区立松濤美術館「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」
大倉陶園100年
千葉市美術館「没後60年 北大路魯山人 古典復興 ― 現代陶芸をひらく ―」
北大路魯山人
サントリー美術館「遊びの流儀 遊楽図の系譜」
遊びの流儀
東京都江戸東京博物館「発掘された日本列島2019」'
発掘された日本列島
国立新美術館「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」
ボルタンスキー展
ちひろ美術館・東京「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」'
ショーン・タン展
日本科学未来館「企画展「マンモス展」 その「生命」は蘇るのか」'
マンモス展
ホキ美術館「スペインの現代写実絵画
スペインの現代写実
静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史~本が開いた異国の扉~」
[エリアレポート]
書物にみる海外交流
細見美術館「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」
[エリアレポート]
タラブックスの挑戦
国立新美術館「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」
[エリアレポート]
ウィーン・モダン
三井記念美術館「日本の素朴絵 ― ゆるい、かわいい、たのしい美術 ―」
[エリアレポート]
日本の素朴絵
国立西洋美術館「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」
[エリアレポート]
松方コレクション展
入江泰吉記念奈良市写真美術館「石内都 布の来歴 ― ひろしまから」
[エリアレポート]
「石内都」展
第3回 インターネットミュージアム検定
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
特別展 「恐竜博 2019」 特別展「三国志」 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展
唐三彩 ― シルクロードの至宝 ― 福島復興祈念展「興福寺と会津」 メスキータ展 マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン 展
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2018、グランプリは
「雷切丸くん」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社