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    レポート
    特別展「江戸ものづくり列伝 ー ニッポンの美は職人の技と心に宿る ー」
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    職人の技と心が宿るニッポンの美
    日本人の暮らしには、四季折々に、遊び心のある繊細な伝統美術がありました。その日本の美意識を作り上げた「ものづくり」に生きた職人たち。東京都江戸東京博物館では、そんな蒔絵師や陶工、金工師、ミニチュア工芸家ら特色のある名工たちの作品を紹介する展覧会が開催中です。
    梨子地藤巴立葵紋散松竹藤文蒔絵行器 江戸時代 18世紀 ベニス東洋美術館蔵
    バルディ伯爵肖像 明治22年(1889) ベニス東洋美術館蔵
    蔓梅擬目白蒔絵軸盆(左)酒井抱一 下絵 / (右)原羊遊斎 蒔絵 文政4年(2932) 江戸東京博物館蔵 国指定重要文化財 展示期間 (展示終了)
    (左)下絵 絵馬 僧正坊と牛若丸 1855年 / (右)下絵 群鳥飛翔 19世紀 柴田是真(展示終了)
    榛原聚玉堂版団扇絵 19世紀 柴田是真(展示終了)
    今戸人形 (金沢春吉 / 作)大正~昭和時代 20世紀 江戸東京博物館蔵
    第6章展示室
    (左)六瓢提物 / (右)瓢箪・独楽他 (小林礫斎 / 作)大正~昭和時代 20世紀 江戸東京博物館蔵

    日本人の生活に彩りと潤いを与えてきた、世界に誇る「ものづくり」。本展では、それらをつくりあげてきた名工とともに、日本初公開のベニス東洋美術館所蔵「バルディコレクション」も紹介。江戸東京で活躍した、職人たちの仕事に光を当てます。


    はじめに登場するのは、ヨーロッパ貴族であるバルディ侯爵。明治22年(1889)に日本を訪れ、1万点以上もの美術工芸品を買い求めました。大名の調度品、刀剣や刀装具なども数多くあり、サムライ文化に憧れをもっていたと感じられるコレクションが並びます。



    3章からは、江戸が生んだ特色のある名工を紹介。まずは、蒔絵師である原羊遊斎と柴田是真。原羊遊斎は、一流の文化人との交流の中で腕を磨いた人物。《蔓梅擬目白蒔絵軸盆》をはじめとする作品では、江戸琳派の創始者である酒井抱一の下絵と、羊遊斎がほどこした蒔絵の2つを見比べることができます。


    一方の柴田是真は、羊遊斎とは対照的。真面目な江戸っ子気質の職人だったと言われています。素材に漆を用いた「漆絵」や、漆を使って高価な材料に見せかける「変塗(かわりぬり)」を開発。トリックアートのような作品を生み出します。


    「鬼才の陶工」と言われるのは、三浦乾也。尾形乾山の陶法を継承し、隅田川界隈で活躍。またその一方で、工業技術でも才を発揮し、仙台藩に召し抱えられて洋式船の建造にも携わった人物です。ここでは、隅田川流域で栄えた土人形も紹介。浅草郊外で作られた素朴で可愛らしい「今戸人形」が並べられています。


    葛飾北斎の晩年の弟子で、絵師から金工師に転じたのは、府川一則。将軍家の刀装具や江戸幕府最後の銭貨・文久永宝を彫刻。明治時代以降は、皇室からの注文を受けた記念品や金工品などを、三代にわたり受け継ぎました。


    最後に並ぶのは、小林礫斎のミニチュア工芸品。喫煙文化が生まれた江戸時代、たばこ入れは、ファッションの一部として楽しまれました。明治時代に入ると、装飾はより華やかになり、美術品の域に達するものも。しかし、紙巻きたばこの普及により、煙管の使用が減少。そんな中で生まれたのが、礫斎のミニチュア作品です。


    特に注目は、小さいものは3ミリになる、無病息災に語呂を合わせた《六瓢提物》。こちらの展示室は撮影も可能。1点ずつ、その超絶技巧を楽しんでみては。

     

    [ 取材・撮影・文:坂入美彩子 / 2020年2月7日 ]


    東京のミュージアム100東京のミュージアム100

     

    新潮社
    ¥ 1,800

    会場
    会期
    2020年2月8日(土)~2020年4月5日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    ※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    毎週月曜日(ただし2月24日は開館)、2月25日(火) ※会期中に一部展示品の入れ替えがあります。
    住所
    東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
    料金
    ・特別展専用券
    一般 1,100(880)円 / 大学生・専門学校生 880(700)円 / 高校生以下・65歳以上 550(440)円

    ・特別展・常設展共通券
    一般 1,360(1,090)円 / 大学生・専門学校生 1,090(870)円 / 中学生(都外)・高校生・65歳以上 680(550)円 /
    ※小学生と都内在住・在学の中学生は、常設展示室観覧料が無料のため、共通券はありません。

    ・特別展前売り券
    一般 900円 / 大学生・専門学校生 680円 / 小・中学生・高校生・65歳以上 350円


    ※()内は20名以上の団体料金
    ※次の場合は観覧料が無料。未就学児童。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)。
    ※シルバーデー(2月19日、3月18日)は、65歳以上の方は特別展観覧料が無料です。年齢を証明できるものをご提示ください。
    ※前売券は2019年11月19日(火)~2020年2月7日(金)まで販売。2月8日(土)から会期中は当日料金で販売。
    展覧会詳細 特別展「江戸ものづくり列伝 ー ニッポンの美は職人の技と心に宿る ー」 詳細情報
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