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レポート
古代中国・オリエントの美術 ― 国宝「細川ミラー」 ―
永青文庫 | 東京都
逸品に一目ぼれ
細川家16代の細川護立(もりたつ)が設立した、永青文庫。いつもは考古学者・梅原末治などのアドバイスを受けて中国美術を蒐集していた護立が、一目惚れで即購入したのが「細川ミラー」でした。館蔵の中国・オリエント美術を紹介する展覧会が、永青文庫で開催中です。
重要美術品《戈己銘夔文銅戈》中国 殷~西周時代(前13~前8世紀)
重要美術品《銅製馬車》中国 前漢~後漢時代(前2~後3世紀)
安井曾太郎《承徳の喇嘛廟》昭和12年(1937)
《ゴールドバンドガラス碗》東地中海沿岸域 前2~前1世紀
《白釉色絵人物文鉢》イラン 12~13世紀
《彩色幾何学文壺》ペルー 15~16世紀
《柿の蔕茶碗》朝鮮 16世紀
《伊羅保茶碗》朝鮮 16~17世紀

5歳から漢籍(漢文で書かれた書物)を学ぶなど、中国文化に親しんでいた細川護立。その関心は美術にも向けられ、1926年(大正15)の欧州旅行から、本格的に中国美術を蒐集するようになりました。


展覧会は古代中国の美術をはじめ、これまでほとんど公開されていないオリエント美術などを展示。あわせて、細川家に伝わった高麗茶碗も紹介していきます。


会場は4階から下に降りる動線で、まずは古代中国の金属器から。護立は渡欧中に博物館を訪ね歩き、パリの古美術商から数々の美術品を買い求めました。


ここで早くも、お目当ての国宝《金銀錯狩猟文鏡》が登場します。現在は「細川ミラー」の名で知られており、三方に渦巻き文様が、その間には、獣と対峙する騎馬人物など3種の図が象嵌技法によって表現されています。中国の戦国時代(前4~前3世紀)には、すでに高い技術が確立されていた事がわかります。


会期前半、3月15日(土)までの限定公開。3月17日(火)からは、代わって国宝《金彩鳥獣雲文銅盤》が展示されます。



この展示室には、日本の画家が中国を描いた絵画も。安井曾太郎の《承徳の喇嘛廟》は、満州からの帰途に立ち寄った承徳で、チベット仏教寺院(ラマ廟)を描いた作品です。護立は安井を篤く支援しており、安井から護立に宛てた手紙も展示されています。


3階はオリエントの美術。展覧会の開催に先立ち、館蔵のオリエント美術コレクションが調査されました。


《ゴールドバンドガラス碗》は、紀元前2~前1世紀頃の器。透明ガラスと紫色のガラスでレース模様をつくった後に、金箔を挟んだ縞模様のガラス板を合わせて浅鉢形にするという、複雑な工程です。帯状の金箔をガラスに挟むのは、現代でも難しい高等テクニックです。


会場最後の2階には、高麗茶碗。国としての高麗ではなく、朝鮮半島から輸入された茶碗はすべて「高麗茶碗」と呼ばれます。細川家には16点の高麗茶碗が伝わります。


《柿の蔕(かきのへた)茶碗》は、伏せた柿の蔕からの命名といわれますが、由来は定かではありません。見込み(茶碗の内側)には茶筅で擦れた跡があり、良く使われた事がわかります。


表面がざらつき、手触りがイライラするのでこの名がついた《伊羅保(いらぼ)茶碗》。脇から見ると、碗の薄さも印象的です。


なお2階の奥では「細川家と明智光秀」の特別パネル展示も。今年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主役、明智光秀と細川家は関係が深く、「本能寺の変」の七日後に光秀から送られた文書が、永青文庫に伝わっています。ここでは複製の展示とともに、その内容について解説。原本は次回展「新・明智光秀論」に出展されます(4/25~)。


[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年2月14日 ]


細川家の700年 永青文庫の至宝細川家の700年 永青文庫の至宝

細川 護煕 (著), 竹内 順一 (著), 芸術新潮編集部 (編集)

新潮社
¥ 1,540

会場
会期
2020年2月15日(土)~4月15日(水)
会期終了
開館時間
10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日
毎週月曜日(ただし2月24日は開館し、2月25日(火)休館)
住所
東京都文京区目白台1-1-1
電話 03-3941-0850
公式サイト http://www.eiseibunko.com/
料金
一 般:800円(700円)
シニア(70歳以上):600円(500円)
大学・高校生:400円
※( )内は10名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料
※別館サロンは別途200円(不定休)
展覧会詳細 古代中国・オリエントの美術 ― 国宝"細川ミラー"期間限定公開 ― 詳細情報
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