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レポート
「ビエンコ」ってナンダ!?ガラスの鼻煙壺 ─ 清朝の嗅ぎたばこ入れ ─
【2019年6月16日閉館】町田市立博物館 | 東京都
多湿が生んだ?極小の芸術品
「鼻煙壺」と書いて、読み方は「ビエンコ」。嗅ぎ(かぎ)たばこを入れて持ち運ぶ、高さ10センチにも満たないほどの小型容器です。驚くべき細工が施されたガラス製の鼻煙壺を紹介する展覧会が、町田市立博物館で開催中です。
(左から)《透地内画蓮池文鼻煙壺》《透地内画梅鵲文鼻煙壺》
《赤色福禄寿喜文鼻煙壺》
《雪片地青被人物文鼻煙壺》
《白地六彩吉祥文鼻煙壺》
《白地緑被野菜形鼻煙壺》
《白地エナメル彩鶉文鼻煙壺》
石に似せたガラスの鼻煙壺
会場
清朝時代の中国(1644-1911)で流行していた、嗅ぎたばこ。粉末状にしたたばこを入れる容器が鼻煙壺です。

町田市立博物館は、1980年代からガラス製鼻煙壺を収集。本展では所蔵する約350点の中から、ガラス製の鼻煙壺約220点を中心に紹介していきます。


小さな鼻煙壺が並ぶ会場。入口近くには象牙製や、ヨーロッパの鼻煙壺も

まず最初に並ぶのは、山水や人物、動物、花鳥などが描かれた鼻煙壺。小さなガラス瓶に細密な描写がされている事だけでも驚きですが、なんと、この絵は容器の内側に描かれたもの。L字に曲げた筆を容器の口から入れて描くという、信じられない技法「内画(うちえ)」で作られました。

会場には内画で使われる道具の他、制作工程も紹介。中には文字が描かれているものもありますが、当然ながら左右逆の鏡文字で書かなければできません。まさに驚愕としか表現しようが無い超絶技巧です。


「内画(うちえ)ってナンダ!?」

地になるガラスの上に、別の色のガラスを重ねる技法は「被せ(きせ)ガラス」。重ねたガラスを地のガラス層まで削る事によって、模様が浮かび上がったようなデザインを作る事が可能です。

被せガラスの鼻煙壺は、蝋細工のような趣き。小さな瓶の両面に、さまざまな図柄が描かれています。


「被せ(きせ)ガラスってナンダ!?」

中国の工芸品にしばしば見られるように、鼻煙壺のデザインにも「子孫繁栄」「長寿」「富貴」「立身出世」など、さまざまな願いが込められています。

西洋では縁起が悪い蝙蝠(コウモリ)ですが、中国ではその音から福の意味。蓮の花・花托・根は良縁を意味し、蓮と魚の組み合わせは毎年豊かである事の象徴です。

猫と蝶が用いられるのは、長寿を意味する言葉と音が似ている事から。菊も長寿を意味する吉祥文です。


吉祥の図柄が施された鼻煙壺の数々

ヨーロッパから中国に伝わった嗅ぎたばこ。実はヨーロッパでの嗅ぎたばこ入れは箱型が主流でしたが、湿気の多い中国では使えなかったため、薬瓶として使われていた陶磁器製の小瓶に栓を利用。その栓に小さじを付けたのが、鼻煙壺のきっかけになりました。

もし中国が乾燥していたら生まれていなかったかもしれない、極小の芸術品。会場は写真撮影もできますので、カメラ持参でお楽しみください(三脚、フラッシュ撮影は禁止です)。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年11月13日 ]

月刊キュリオマガジン181号: 特集 鼻煙壺の美 part.II

フジインターナショナルミント(株) (編集)

フジインターナショナルミント(株)
¥ 880

 
会場
会期
2014年11月15日(土)~12月23日(火・祝)
会期終了
開館時間
9:00~16:30
休館日
月曜日休館 ただし11月24日(月・休)は開館し、翌日休館
住所
東京都町田市本町田3562
電話 042-726-1531
公式サイト http://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/bunka_geijutsu/cul/museum/hakubutukan_top.html
料金
一般300円(中学生以下無料、障がい者半額)
展覧会詳細 「ビエンコ」ってナンダ!? ガラスの鼻煙壺 ―清朝の嗅ぎたばこ入れ― 詳細情報
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