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    レポート
    とことん見せます!富士美の西洋絵画
    東京富士美術館 | 東京都
    まるで海外の美術館、275点を一挙に公開
    絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど、約3万点のコレクションを誇る東京富士美術館。中でも白眉といえるのが、西洋絵画の流れを一望できる油彩画コレクションです。実に275点を一挙に紹介する前代未聞の展覧会、2段掛け・3段掛けの展示室は圧巻です。
    (左から)トマス・ローレンス《摂政皇太子時代のジョージ4世》 / アントニー・ヴァン・ダイクに帰属《ドーセット伯爵4世 エドワード・サックヴィルの肖像》 / カスパール・デ・クライエル《スペイン国王フェリペ3世》 / カスパール・デ・クライエル《スペイン国王フェリペ4世》
    (左から)アントニー・ヴァン・ダイク《ベッドフォード伯爵夫人 アン・カーの肖像》 / ウィルム・デ・ヘゥス《木立のある風景》
    (左から)テオドール・ファン・テュルデン《ヘラクレスとオンファレ》 / アントニー・ヴァン・ダイク《アマリア・ファン・ソルムス=ブランウェルスの肖像》
    (左から)ジャン=オノレ・フラゴナール《豊穣な恵み》 / ジャン=シメオン・シャルダン《デッサンの勉強》
    (左)エドモンド・ジョン・ニーマン《ロワール河での釣人》 / (右上)ルドルフ・ペッペル《山のある風景》 / (右下)ウォルター・ヒース・ウィリアムス《森の風景》
    (左)ウィリアム・アドルフ・ブーグロー《漁師の娘》 / (中)ジュール・ジェーム・ルージュロン《鏡の前の装い》 / (右上)ジャン=ジャック・エンネル《少女の横顔》 / (右下)ジョルジュ・クロエガート《婦人像》
    (左から)クロード・モネ《睡蓮》 / ピエール=オーギュスト・ルノワール《浴後の女》
    「20世紀絵画」のコーナー
    (左から)アンディ・ウォーホル《ウーマン》 / アンディ・ウォーホル《ウーマン》
    コレクションの形成にあたってルーヴル美術館の絵画部長だったルネ・ユイグ氏の助言を受けていた事もあり、西洋絵画には定評がある東京富士美術館。今回は常設展示室と企画展示室の全てを使って、西洋絵画のみを紹介する企画です。

    会場に入ると、絵画の密度にびっくり。絵画に包まれるような構成は、まるで海外の美術館のようです。

    まず最初の展示室では、16世紀から20世紀までの絵画を1つの展示室で概観する「序章 西洋絵画400年の流れ」から。イタリア・ルネサンスのジョヴァンニ・ベリーニから、ポップアートのアンディ・ウォーホルまでが並び、これだけでも十分に企画展として成立するラインナップです。


    序章

    この後は、時代順の構成。「16世紀絵画 ─ イタリア・ルネサンスと北方ルネサンス」「17世紀絵画 ─ オランダ・フランドルの時代」「フランス バロック・ロココ絵画」「ナポレオン時代の絵画」「新古典主義とロマン主義絵画」と続きます。

    全体では序章もあわせて12章構成ですが、途中にサイズや様式、テーマで特集展示も用意。会場前半では「小さな絵画」「ヴェドゥータ(都市景観画)」「巨大肖像画」と紹介されています。

    日本人に人気が高い印象派の作品を所蔵している美術館には、印象派以外が“付け足し程度”に留まっている傾向がしばしば見られますが、ここは違います。特に印象派より前の時代の充実度が高いため、館蔵品だけで「西洋絵画の流れを概観する展覧会」をきっちりと見せられるのは、東京富士美術館の強みといえます。


    会場前半

    ここまでで、ようやく半分。続いて、いつもは企画展示に使われる本館へ進みますが、この後にも135点が展示されています。

    続いて「イギリス絵画」「アカデミズムとバルビゾン派」「印象派」「印象派以降の画家たち ─ 後期印象派、ナビ派」「エコール・ド・パリの画家たち」「20世紀絵画」という流れ。さらに特集展示の「マン・レイとシュルレアリスムの画家たち」「アメリカン・ポップアート」も含まれます。

    実は本展では、初出展の作品が22点も展示されています。これまで出す機会に恵まれなかった西洋絵画ですが、展覧会を担当した宮川謙一学芸員も「展示室に掛ける事で、改めて良さが分かった」という作品も多数。初出展作品は出品リストにマークがついています。

    どこもかしこも絵画に溢れる会場ですが、最後の章である「20世紀絵画」は正に圧巻。「多様性を感じてもらいたい」(宮川学芸員)として、多彩な作品で壁面が埋め尽くされています。


    会場後半

    東京・八王子市にある東京富士美術館。都心からはやや離れていますが、圧倒的なボリュームでお腹いっぱいになる事間違いなし。コレクション展という事もあってリーズナブルな観覧料も魅力です(大人800円)。

    展覧会にあわせた特別連続講演会として、1月29日(日)は高階秀爾、2月19日(日)は大野芳材、3月19日(日)は島田紀夫の各氏が登壇します(各回とも14時から。入館料のみで参加可能です)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年1月11日 ]



    ■とことん見せます!富士美の西洋絵画 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年1月5日(木)~3月20日(月)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(受付は30分前まで)
    休館日
    月曜日(祝日の場合は開館。翌日火曜日が振替休館)
    住所
    東京都八王子市谷野町492-1
    電話 042-691-4511
    公式サイト http://www.fujibi.or.jp/
    料金
    大人800(700)円、大高生500(400)円、中小生200(100)円、未就学児無料
    展覧会詳細 とことん見せます!富士美の西洋絵画 詳細情報
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