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    レポート
    キスリング展 エコール・ド・パリの夢
    東京都庭園美術館 | 東京都
    日本では12年ぶりの回顧展です
    エコール・ド・パリを代表する画家、キスリング(1891-1953)。肖像画や静物画など、西洋絵画の伝統的なジャンルに新しい息吹を与え、20世紀の絵画史で異彩を放つ存在です。キスリングの画業を約70点の作品で振り返る展覧会が、東京都庭園美術館で開催中です。
    《赤い長椅子の裸婦》1937年 パリ市立近代美術館蔵
    《アトリエの画家とモデル》1938年 プティ・パレ美術館/近代美術財団蔵
    《ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)》1933年 カンティーニ美術館蔵
    《サン=トロペでの昼寝(キスリングとルネ)》1916年 プティ・パレ美術館/近代美術財団蔵
    (手前から)《緑色のスカートの女性》1928年 村内美術館蔵 / 《ル・ベック氏の息子》1926年 熊本県立美術館蔵
    《ジロン氏の肖像》1913年 プティ・パレ美術館/近代美術財団蔵
    (左から)《ひげの男の肖像》1912年 プティ・パレ美術館/近代美術財団蔵 / 《水差しと果実のある静物》1912年 プティ・パレ美術館/近代美術財団蔵
    (左から)《座った裸婦》1925年 西宮市大谷記念美術館蔵 / 《座る若い裸婦》1932年 熊本県立美術館蔵
    《ブルターニュの女》1927年 松岡美術館蔵
    ポーランドの古都・クラクフに、裕福な仕立屋の息子として生まれたキスリング。パリに出た1910年当時や、第一次世界大戦の生活は苦しかったとはいえ、同郷の画商、アドルフ・パスレルや、東欧出身のユダヤ系の支援に恵まれるなど、経済的な困窮はなかったと言われています。

    面倒見のいい性格だったキスリングのアトリエは、芸術家をはじめ作家やモデルたちが集まる社交場となりました。自殺や、アルコール中毒など破滅型のイメージが強いエコール・ド・パリの画家たちの中では、珍しく幸福な生涯を送った画家でもあります。

    日本で12年ぶりの回顧展となる本展では、1920~30年代のパリで「モンパルナスのプリンス」と呼ばれ、時代の寵児となったキスリングの名作が一堂に会します。

    キスリングは、友人や妻、女優、少年など数多くの肖像画を手掛けました。鮮やかな色彩と、憂いを帯びているアーモンド形の瞳。風景画や静物画、裸婦など、独自のスタイルを発展させてきましたが、なかでも肖像画にその特徴が表れています。

    「性の解放」を叫び、同性も対象とした恋愛遍歴を持つ作家、コレット。その娘であるコレット・ド・ジュヴネルを描いた作品、《ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)》は、本展のメインビジュアルに使用されています。「ベル・ガズー」とは、母・コレットが娘につけた愛称です。



    キスリングは、第二次世界大戦中に亡命していたアメリカから帰国した後、肖像画、静物画、花束など多くの作品を描き、フランス画壇へ復帰しました。《ミモザの花束》に注目。黄色い花粒は、チューブから直接絵具を乗せて描かれました。絵具の盛り上がり方が、リアルです。

    2階の殿下居間には、写真資料もパネルで展示されています。「モンパルナスのプリンス」と呼ばれ、エコール・ド・パリの画家たちの中心にいたキスリング。同時期にモンパルナスで活躍していた藤田嗣治とも、親交を結んでいました。

    《ラ・ロトンドにて、1920年》には、おかっぱ頭に丸メガネと特徴的な藤田と、カメラを見据える色男、キスリングが写った写真パネルが紹介されています。

    画業のみならず、キスリングの交友関係もわかる本展。東京展終了後、巡回します。会場と会期はこちらをご覧ください。

    [ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2019年4月19日 ]

    フランス人がときめいた日本の美術館フランス人がときめいた日本の美術館

    ソフィー・リチャード(著),山本 やよい(翻訳)

    集英社インターナショナル
    ¥ 2,376

     
    会場
    会期
    2019年4月20日(土)~7月7日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00-18:00 (入館は17:30まで)
    休館日
    第2・第4水曜日(4/24、5/8、5/22、6/12、6/26)
    住所
    東京都港区白金台5-21-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://www.teien-art-museum.ne.jp/
    料金
    一般 1,100(880)円 / 大学生(専修・各種専門学校含む)880(700)円 / 中学生・高校生 550(440)円 / 65歳以上 550(440)円

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※前売り券はe+(イープラス)にて販売
    ※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者一名は無料
    ※教育活動として教師が引率する都内の小中・高校生および教師は無料(事前申請が必要)
    ※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料
    展覧会詳細 「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」 詳細情報
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