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レポート
浮世絵師 溪斎英泉
千葉市美術館 | 千葉県
退廃的な美人画で時代をリード
下唇をつきだした口もと、短い首、くの字に曲がった身体…。退廃的な雰囲気の美人画で人気を博した溪斎英泉(けいさいえいせん)の企画展が、千葉市美術館で開催中です。
美人画の大首絵。下唇だけ緑色なのは当時の流行のメイクです
初期の作品は、師の英山の様式が強く出ています
「あぶな絵」の展示は5点
≪美人料理通≫は、当時人気の高級料理店と美人を描いたもの
美人画以外の作品も。こちらは風景画
肉筆画も情緒たっぷり。背景の水墨とのコントラストも映えます
≪契情道中双ろく≫。55枚の美人画が並ぶと、某グループのように総選挙をしたくなります
「パリ・イリュストレ」に転載された《雲龍打掛の花魁》。ただし左右が逆になっています
ベロ藍(プルシャン・ブルー)一色で刷った「藍摺」
美人画の第一人者である溪斎英泉は、波瀾万丈の人生を送った絵師です。もともとは武士の家でしたが、若くして両親に先立たれたため、3人の妹を養うはめに。さらに告げ口によって藩をリストラされ、流浪の果てに浮世絵師になったといいます。

初期は師である菊川英山の様式が反映されていましたが、徐々に独自の美学を反映した美人画を確立。当時の人は英泉が描く最先端の美女に魅せられ、その作品は何度も摺られる人気作家になりました。

浮世絵の値段は「かけそば一杯」程度といわれていますので、当時の人は好みの美人の浮世絵を求めていたのでしょうか。


会場

浮世絵に詳しい方なら、英泉といえば「あぶな絵」(春画)をイメージされる方もいるかもしれません。少しだけ本展でも紹介されています。


「あぶな絵」

吉原の遊女を描いた作品を数多く残している英泉ですが、《契情道中双ろく》(けいせいどうちゅうすごろく)は代表的な作品のひとつです。

東海道の宿場町に日本橋と京を加えた五十五の各所に、吉原の人気遊女を配したシリーズ。どの遊女も艶やかな着物を纏い、特徴的なポーズをとっています。


《契情道中双ろく》

展覧会のイメージ画像としても使われているのが《雲龍打掛の花魁》。なよっとした英泉得意の佇まいで、打掛の雲龍模様をを見せつけるように立っています。

ジャポニスム全盛だった当時の欧州で、この絵は評判になりました。1886年にパリで発売された書籍「パリ・イリュストレ」の表紙になり、さらにそれを見たゴッホが、肖像画の背後にこの絵を描いています。


《雲龍打掛の花魁》

本展では美人画だけでなく、風景画や武者絵など英泉の別の一面も網羅。また、技法も錦絵(浮世絵)だけでなく、摺物や肉筆画も紹介しています。特に肉筆画は力作が多く、錦絵と違った味わいがあります。

千葉市美術館の英泉コレクションは、英泉の先駆的な研究者だった今中宏氏から購入・寄贈されたもの。このコレクションが美術館設立のきっかけともなりました。今では世界でも指折りの英泉コレクションを誇っています。(取材:2012年5月30日)

溪齋英泉・葛飾応為(お栄)

林 美一 (著)

河出書房新社
¥ 9,240
会場
会期
2012年5月29日(火)~7月8日(日)
会期終了
開館時間
午前10時-午後6時 (入場は午後5時30分まで)
金曜日・土曜日は午後8時まで (入場は午後7時30分まで)
休館日
毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)
年末年始(12月29日-1月3日)

※上記の休館日以外にも、展示替え等のため展示室が閉室となる場合がございます。
 展覧会スケジュールをご確認のうえご来場ください。
住所
千葉県千葉市中央区中央3-10-8
電話 043-221-2311
公式サイト http://www.ccma-net.jp/
展覧会詳細 浮世絵師 溪斎英泉  詳細情報
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