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    レポート
    「暮らしと美術と髙島屋」展
    世田谷美術館 | 東京都
    巨匠の作品が目白押し
    1831(天保2)年の創業から180年を迎えた髙島屋。万博出展をきっかけに美術家と親密な関係を築き、多くの名品を所有するに至りました。
    ビロード友禅3点組《世界三景 雪月花》の下絵
    岡田三郎助《東京日本橋》
    左から、島崎鶏二《竹林》と東郷青児《裸婦》
    竹内栖鳳《アレ夕立に》(右)
    金の屏風は、横山大観と下村観山の共作《竹の図》。左の真っ直ぐな竹が大観、曲がっているのが観山
    広報宣伝ポスター。「外貨獲得」と直接的なコピーが印象的
    一時期は出版も行っていた。表紙原画には宮本三郎、小磯良平、岩田専太郎らの名が
    会場入口で出迎えてくれるのは、髙島屋のマスコット「ローズちゃん」
    限定1000体の「アレ夕立に」ローズちゃん(3150円)は、チャリティー販売。売上金の一部は震災・津波被害による美術品・美術館の修復支援にあてられます
    2007年に企業と美術の関係に焦点を当てた展覧会「福原信三と美術と資生堂」を開催した世田谷美術館。本展はその流れを継ぐ企画で、4章で構成されます。

    第1章 美術との出会い ─ 美術染織・日本画・洋画・工芸
    第2章 暮らしとの出会い ─ 百貨店建築・装飾・ウインドーディスプレイ・広告宣伝・出版
    第3章 継承と創生の出会い ─ 「上品会」と「百選会」
    第4章 明日との出会い ─ 髙島屋の文化活動

    髙島屋は早くから国内外の博覧会への参加を進め、出展された染織作品は高い評価を得ていました。

    商品を開発するなかで美術家・染織家と緊密な関係を築き、はじめは日本画家、後には洋画家との交流も深まります。


    冒頭はエレベーターガールが髙島屋の歴史を紹介する楽しい演出から

    髙島屋による博覧会出展作品の中でも特に名高いのが、ビロード友禅3点組《世界三景 雪月花》。1910(明治43)年の日英博覧会に出展されたものです。

    東洋美の象徴「雪」「月」「花」を題材に、当時の京都画壇を代表する三人が下絵を制作。本展ではその下絵が出展されています。山元春挙《ロッキーの雪》、竹内栖鳳《ベニスの月》、都路華香《吉野の桜》は大評判となりました。「雪」と「月」のビロード友禅は、1994年に大英博物館に収蔵されています。


    ビロード友禅3点組《世界三景 雪月花》などが並ぶ

    第2章では建築やデザインなどを紹介。なかでも目をひくのは、壁一面に展示されている戦前の広告ポスターです。

    軍靴の音が聞こえてきた昭和初期。「国防大展覧會」「世界に輝く わが潜水艦展覧会」など、現在では驚くようなテーマも、当時の庶民にとっては重大な関心事でした。


    広報宣伝ポスター

    第3章は「上品会」と「百選会」。髙島屋の呉服への取り組みを紹介します。

    伝統の染織美の極みを追求した「上品会」に対し、流行の先端の意匠を求めたのが「百選会」。髙島屋は伝統と流行の二つの流れで、呉服の世界を牽引していきました。


    第3章

    その他にも、民藝運動のエポックである「現代日本民藝展覧会」(1934年)や、本展の前に世田谷美術館で行われていたエドワード・スタイケンの代表展「ザ・ファミリー・オブ・マン写真展」(1956年)も、髙島屋日本橋店での開催。わが国の近代美術史の重要なポイントで、髙島屋の名前が良く出てくることに改めて気づかされます。

    追加で、海外博覧会での興味深いエピソードを。

    1900年の髙島屋パリ万博にビロード友禅《波に千鳥図》を出品したところ、出展中にも関わらず「自宅の壁に飾りたいので運べ」と命じた人がいました。その人物は、ミュシャのポスターでも有名なサラ・ベルナール。19世紀を代表する大女優です。

    出展中の作品を運べとは、あまりにも無茶な注文ですが、髙島屋は希望に応じて自宅まで持参しました。もちろん、その経緯はパリの新聞に掲載され、さらに髙島屋の名声が上がったことは言うまでもありません。(取材:2013年4月24日)


     
    会場
    会期
    2013年4月20日(土)~6月23日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし4月29日(月祝)、5月6日(月祝)は開館。4月30日(火)、5月7日(火)は休館
    住所
    東京都世田谷区砧公園1-2
    電話 03-3415-6011
    公式サイト http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
    料金
    一般 1,000(800)円/大高生・65歳以上 800(640)円/中小生 500(400)円
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※障害者の方は500円(介助の方は1名まで無料)大高中小生の障害者の方は無料
    展覧会詳細 「「暮らしと美術と髙島屋」展」 詳細情報
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