葛飾北斎の代表作と言えば、『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』でのバリエーション豊かな人物の動きを思い浮かべる方も多いことでしょう。
そんな中、本企画展では北斎とその一門が描いた動物をテーマにした、親しみやすい展示となっています。
葛飾北斎『桜に鷹』天保5年(1834)頃 長大判錦絵
1章目は、生けるがごときアニマルとして、躍動感あふれる動物の絵が並びます。
葛飾北斎『富嶽百景』二編 夢の不二 天保6年(1835) 半紙本
首のかしげ方、目線の向け方といった動物特有の動き、羽や毛並みの1本1本までの描き込みなどが、特徴を捉えています。
葛飾北斎『三体画譜』栗鼠 猫 鼠 獅子 年未詳 半紙本
こちらの『三体画譜』では、1つの動物につき3体ずつ描き分ける試みがなされています。
右ページ下の段の猫は、飼い猫と思しき首輪のようなものを着けていても、猫特有の人との距離感まで醸し出されています。
続いて2章目は、かわいらしいアニマル。その名の通り、モフモフな癒し系動物達が集められています。
葛飾北斎『三体画譜』馬 兎 猿 狗猧 文化13年(1816) 半紙本
左ページ下の段の狗猧(えのころ)とは、子犬のこと。
ころころとした体型にうるんだ瞳の姿で描かれる子犬はとてもかわいいのですが、円山応挙など同時代の他の絵師にも見られ、何だか北斎らしくありません。
葛飾北斎『北斎漫画』十一編 鶏 犬 文政6年(1823)~天保4年(1833) 半紙本
対照的に、『北斎漫画』の1番左の子犬は、成犬と一緒になって吠える力強い姿に愛おしさを感じます。
最後が、3章 絵ならではのアニマル。この章は、物語に出てくる実在しない動物や、意匠に用いられた動物などバラエティーにとんでいます。
葛飾北斎『北斎漫画』三編 人魚 水獺 他 文化12年(1815) 半紙本
『北斎漫画』にも、ナマコと同じページに人魚や河童といった想像上の生き物が描かれていて驚きます。
江戸時代の人は、複数の動物の骨を組み合わせて人魚のミイラを作ってしまったくらいですから、人魚の存在は信じていたのかもしれません。
ですが、北斎の描いた人魚(右上)は、人魚というより人面魚といったほうが良さそうな生き物に仕上がっています。
葛飾北斎『新形小紋帳』ふじのまひつる 花たちばなまひつる 他 文政7年(1824)中本
着物の柄の図案集では、現代でもそのまま通用するようなモダンなデザインセンスを感じられます。
今年は北斎没後170年、来年には生誕260年と節目の年が続き、目にする機会も増えるでしょう。
これを機会に、北斎の新たな一面を垣間見てはいかがでしょうか。
会場 | すみだ北斎美術館 |
開催期間 | 2019年2月5日(火)~2019年4月7日(日) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日) |
開館時間 | 9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで) |
所在地 | 東京都墨田区亀沢二丁目7番2号 |
03-5777-8600(ハローダイヤル) |
HP : http://hokusai-museum.jp/ |
料金 | 一般 1,000円、高校生・大学生 700円、中学生 300円、65歳以上 700円、障がい者 300円 |
展覧会詳細へ |
「北斎アニマルズ」 詳細情報 |
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