展覧会概要
名古屋市美術館で「没後90年記念 岸田劉生展」が、始まりました。
日本の近代洋画の展覧会を見に行けば、おそらく何かしらの作品を目にする作家の筆頭だと思います。
《黒き帽子の自画像》1914年3月6日 油彩/板 51.3×39.2cm 個人蔵
作家の名前にピンと来なくても、この自画像を見れば、見知っているという方も多いのではないでしょうか。
先に開催された、東京展(東京ステーションギャラリー)、山口展(山口県立美術館)に続き、いよいよ名古屋でも開催です。
展示室にて
フォトスポット
展示室で作品を見て、気づいたことは、作品サイズが全体的に小ぶりなことと、水彩画も多数、制作されていることでした。
図録などでは、サイズ感がわからないので、今展でまとめて実物を見ることができたのは収穫でした。
また、岸田劉生といえば、洋画(油彩画)だけ(?)と思っていたので、水彩画からスタートしていたことは意外でした。
《麗子微笑》重要文化財 1921年10月15日 油彩/麻布 44.2×36.4cm 東京国立博物館 Image TNM Image Archives
多数の「麗子像」の中でも、岸田劉生の作品イメージの筆頭だと思います。
実物を見ると、意外に小さくて、かわいらしい感じです。
ガラスケースの中に展示されているのですが、目線の高さあたりのガラスの所々に曇ったような跡がありました。おそらく、作品を近くで見ようと近づいて、額をガラスに当てた人がいたのでしょう。それくらい、引き込む力のある作品でした。
《二人麗子図(童女飾髪図)》1922年3月21日 油彩/麻布 100.3×80.3cm 泉屋博古館分館
モデルの2人のしぐさと、着物の生地の質感に目を惹かれました。
小さな子供が絵のモデルになるのだから、動かないように、じっとしているのは大変だったろうと思います。
展示室のキャプションを読むと、「足が痛くて大変」とか、絵の中からつぶやきが聞こえてきそうな気がします。
《路傍秋晴》1929年11月 油彩/麻布 59.5×71.5cm 吉野石膏株式会社
展示の後半は、風景画と日本画が中心です。
《路傍秋晴》のような景色は、名駅や栄近辺で生活しているとあまり出会わない風景だと思います。
ですが、このような快晴の日に、観光地化していない田舎道を歩くのは気持ちがよさそうです。
キャプションにある「吉野石膏株式会社」といえば、昨年の春の「印象派からその先へ」展でも、素敵な印象派の作品の数々を見せてもらいました。
コレクションの幅広さがうかがえます。
残念ながら、名古屋会場には《道路と土手と塀(切通之写生)》は、出品されません。
また、会期中に一部作品の展示替えがあるので、お目当ての作品の情報にはご注意を。
閑話休題
ミュージアムショップ
今展オリジナルグッズが多数、並んでいます。図録以外では、定番のクリアファイルや一筆箋が人気だそうです。
お土産 プリントチョコレート
こちらのチョコレートも人気だそうです。
「もう疲れた」。「あと少しだから、動かないで」。
どんな会話があったのか、食べながら想像してみてください。
エリアレポーターのご紹介
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ひろ.すぎやま
近現代美術、演劇、映画をよく見ます。
作品を見る時は、先入観を避けるため、解説などは後から読むようにしています。
折々に、東海エリアの展覧会をレポートしますので、出かけていただく契機になれば幸いです。
名古屋市美術館協力会会員、あいちトリエンナーレボランティア。
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