IM
    レポート
    描かれたチャイナドレス ─ 藤島武二から梅原龍三郎まで
    アーティゾン美術館 | 東京都
    「チャイナドレス割引」も実施中
    明治維新を経て、アジアでいち早く西欧化した日本。西欧化が進む一方で、中国への憧憬や愛着は絵画の中に生き続けました。日本人洋画家が描いた、中国服姿の女性像。少し珍しいテーマの企画展が、ブリヂストン美術館で開催中です。
    (左から)藤島武二《鉸剪眉》鹿児島市立美術館蔵 / 藤島武二《女の横顔》ポーラ美術館蔵
    (左から)藤島武二《唐様三部作》石橋財団石橋美術館蔵 / 藤島武二《匂い》東京国立近代美術館蔵
    (左から)久米民十郎《支那の踊り》個人蔵 / 小林萬吾《銀屏の前》福富太郎コレクション資料室蔵
    (左から)三岸好太郎《支那の少女》北海道立三岸好太郎美術館蔵 / 三岸好太郎《中国の女》メナード美術館蔵
    (左から)児島虎次郎《お茶時》大原美術館蔵 / 児島虎次郎《中国の少女》大原美術館蔵
    (左から)正宗得三郎《支那服》府中市美術館蔵 / 正宗得三郎《赤い支那服》府中市美術館蔵 / 小出楢重《周秋蘭立像》リーガロイヤルホテル蔵
    (左から)児島虎次郎《花卓の少女》高梁市成羽美術館蔵 / 児島虎次郎《西湖の画舫》高梁市成羽美術館蔵
    [清朝期の伝統旗袍 謝黎コレクション] 絵画の時代と同時期のチャイナドレスも参考出品されました
    会場
    「1910年代から40年代にかけて中国服の女性を描いた日本人洋画家による作品」を集めた本展。かなり絞ったテーマですが、作品は前後期あわせて29点と、充実した展覧会になりました。

    大正時代にわきおこった中国趣味。洋画では、まず藤島武二が中国服の女性像を描き始めました。会場最初に展示されている《匂い》が、藤島が最初に描いた中国服の女性像です。

    展覧会メインビジュアルの《女の横顔》も藤島の作品です。モデルは竹久夢二の愛人で、「お葉」こと佐々木カ子ヨ(かねよ)。藤島は日本女性の横顔に不満を持っていましたが、カ子ヨの横顔には満足していたようです。


    展示室1。順に、藤島武二《匂い》東京国立近代美術館蔵、藤島武二《女の横顔》ポーラ美術館蔵

    先ほどの《女の横顔》もそうですが、展示されている作品の約半数のモデルは日本人です。麗子像で知られる岸田劉生も、中国服を着せた妹・照子をモデルにしています。

    この時期、劉生は立て続けに中国服姿の照子を水彩で描いており、こちらは3作目。この年に24歳になる照子、麗子にも慕われたという人柄が伺える、穏やかな表情です。


    岸田劉生《照子像》

    会場はもう1室、ブリヂストン美術館最大の第2室にも続きます。ここでは絵が描かれた時期のチャイナドレスも紹介されています。

    実は「チャイナドレス」は和製英語。中国語では旗袍(チーパオ)と呼ばれるワンピースです。現在では深いスリットが入りセクシーなイメージもありますが、当時は必ずしもそういったものではありませんでした。

    アヘン戦争、辛亥革命と時代が進む中で、襟の形、裾の長さ、ボタンのデザイン、生地など、さまざまなヴァリエーションが生まれていきました。


    第2室には実物のチャイナドレスも

    第2室では、こちらの2点をご紹介しましょう。

    小出楢重の《周秋蘭立像》は、神戸在住の中国人を描いた作品。昭和3年頃、小出は中国服の女性を描きたいと熱望しており、小出が表紙デザインなどを手掛けていた月刊誌「辻馬車」の同人が、中国人女性をモデルとして紹介しました。

    支那扇子を手に持ち、中国趣味が強く現れたこの作品は、現在ではリーガロイヤルホテルの1階メインラウンジで飾られています。

    真っ直ぐにこちらを見つめる美少女は、児島虎次郎の《花卓の少女》。児島は中国を四度も訪ねて風景画や人物画を描いており、この作品は四回目の中国旅行で描かれたとみられています。

    赤い背表紙の本を片手に、右手で頬杖をつく少女。濃い紫の中国服と対照的に、肌の白さが引き立ちます。


    順に、小出楢重《周秋蘭立像》リーガロイヤルホテル蔵、児島虎次郎《花卓の少女》高梁市成羽美術館蔵

    「テーマ展示」として開催される本展。以前もこの項でご紹介しましたが、他館から集めた作品を楽しめると同時に、人気が高い所蔵作品も展示され、しかも観覧料は安め(コレクション展と同額)と、ブリヂストン美術館通なら狙い目です。

    また本展は「チャイナドレス割引」も実施中。本格的なチャイナドレスはもちろん、中国服デザインがファッションの中に取り入れられていれば、団体料金で観覧できます(一般なら800円が600円)。「着物割引」は時おり見かけますが、こちらも珍しい試みです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年4月25日 ]


     
    会場
    会期
    2014年4月26日(土)~2014年7月21日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    10:00-18:00
    (毎週金曜日は20:00まで)※当面の間、中止

    【日時指定予約制】
    入館までの待ち時間の緩和、より快適な鑑賞環境をご提供するために、1日を以下の入館時間枠に区切り、その時間枠内にご入館頂きます。
    ①10:00-11:30  
    ②12:00-13:30  
    ③14:00-15:30 
    ④16:00-17:30
    ⑤金曜日のみ 18:00-19:30 ※当面の間、中止

    ※指定した時間枠内であれば、いつでもご入館頂けます。
    ※入館後は閉館まで時間制限なくご鑑賞頂けます。入替制ではありません。
    ※各時間枠の開始時刻直後は混雑が予想され、入館をお待ち頂く場合があります。
    休館日
    月曜日休館 ただし祝日は開館し、翌日休館
    住所
    東京都中央区京橋1-10-1
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.bridgestone-museum.gr.jp
    料金
    一般 800(600)円/シニア(65歳以上) 600(500)円/大学・高校生 500(400)円/中学生以下無料
    ※()内は15名以上の団体料金
    ※上記は、本展の料金となります。展覧会によって入館料は異なります。
    ※シニアの方、学生の方は証明書が必要です。
    ※障害者手帳をお持ちの方とご同伴者2名様まで半額となります。
    展覧会詳細 描かれたチャイナドレス ─ 藤島武二から梅原龍三郎まで 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    東京オペラシティアートギャラリー、事務職員募集中! [東京オペラシティアートギャラリー]
    東京都
    はつかいち美術ギャラリー 学芸員募集中! [はつかいち美術ギャラリー]
    広島県
    【国立美術館】研究補佐員(作品活用促進担当)公募 [国立美術館本部(国立アートリサーチセンター(仮称)は、本部近辺の仮オフィスになる予定)]
    東京都
    ECサイト運営担当募集!【2023年秋OPEN/杉並区に誕生する体験型学習施設】 [杉並区内の科学館 *2023年秋オープン予定 〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2丁目14-13]
    東京都
    広報・PR担当リーダー募集!【2023年秋OPEN/杉並区に誕生する体験型学習施設】 [杉並区内の科学館 *2023年秋オープン予定 〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2丁目14-13]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    寺田倉庫 B&C HALL・E HALL | 東京都
    BETTY CATROUX - YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展
    もうすぐ終了[あと11日]
    2022年11月19日(土)〜12月11日(日)
    2
    国立科学博物館 | 東京都
    特別展「毒」
    開催中[あと81日]
    2022年11月1日(火)〜2023年2月19日(日)
    3
    静嘉堂文庫美術館 | 東京都
    響きあう名宝 ― 曜変・琳派のかがやき ―
    開催中[あと18日]
    2022年10月1日(土)〜12月18日(日)
    4
    アーティゾン美術館 | 東京都
    パリ・オペラ座 ― 響き合う芸術の殿堂
    開催中[あと67日]
    2022年11月5日(土)〜2023年2月5日(日)
    5
    国立西洋美術館 | 東京都
    ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
    開催中[あと53日]
    2022年10月8日(土)〜2023年1月22日(日)