IM
    レポート
    弥生ってなに?!
    国立歴史民俗博物館 | 千葉県
    弥生時代に土偶?
    会場入口の左側にある銅矛と銅鐸は、教科書でもお馴染みの弥生文化。ただ、右側にはなぜか土偶が。祭祀に土偶を使ったのは縄文時代、って習った記憶がありますが… この疑問こそが、本展の企画意図です。
    弥生時代の等身大女性像「弥生ちゃん」(仮)
    会場入口
    第Ⅱ部「弥生をながめる」 里田原遺跡
    第Ⅱ部「弥生をながめる」 環壕集落模型
    第Ⅲ部「弥生の時間」
    第Ⅳ部「弥生のひろがり」 弘前市:砂沢遺跡
    企画展示室Bの「縄文の美」
    企画展示室Bの「弥生の美」
    鋳造体験で作った銅鐸
    縄文時代~弥生時代~古墳時代と続く日本の古代史。ただ、平安京が作られたり、大政奉還があったりしたわけではないので「弥生時代は○○年から」と、きっちり決められるものではありません。

    また弥生時代の文化は地域によっても差があり、何をもって弥生とするか研究者によってさまざまな説があります。弥生とは何か、本展はその諸説を考察する企画展です。


    会場入口

    弥生時代の教科書的な流れは、水田稲作の開始→農耕社会の成立→有力者の出現→古墳の誕生。ただ、これはあくまでも九州や近畿など新潟から千葉を結ぶ線の西方の話で、それ以東・以北では状況が異なります。例えば青森では水田稲作を300年行った後に、採集狩猟生活に戻っているのです。

    会場には、本展を監修した国立歴史民俗博物館(歴博)副館長の藤尾慎一郎教授と、東京大学の設楽博己教授による弥生論を併記。会場には8カ所の質問コーナーがあり、二人の教授がそれぞれの説を説明します。


    メガネの弥生人が藤尾教授、顔に入れ墨をした弥生人が設楽教授です

    日本各地で発見されている遺跡も、二人の意見が異なる地点があります。

    九州は比較的分かりやすく、例えば竪穴式の住居跡や建物跡などが見つかった福岡市の原遺跡(前9~前7世紀)は、二人とも「弥生である」と主張。一方で青森・弘前市の砂沢遺跡(前4世紀)は、縄文人の"むら"に隣接して見つかった水田跡(会場冒頭の土偶もここで発見されたものです)。設楽教授は「弥生」としますが、藤尾教授は「縄文でも弥生でもない別の文化」と考えています。


    福岡市の原遺跡と、弘前市の砂沢遺跡

    展示の目玉のひとつが「弥生ちゃん」(仮)。山口県土井ヶ浜で発見された実物の頭がい骨(推定年齢17歳)をもとに顔を復元し、当時の高貴な女性が身に着けていた衣裳を身に着けました。

    会場では、弥生人の衣装体験も実施中。スタッフに手伝っていただけるので、あっという間に弥生美人の完成です。このコーナーは、お手持ちのカメラやスマートフォン等での記念撮影もできます(衣装は成人女性と女児用ですが、男性も試着可能。身長165cm以下の方のみ)


    「弥生ちゃん」(仮)と、弥生人の衣装体験コーナー

    人気になりそうなのが、日曜日を中心にガイダンスルームで行われる鋳造体験。低融点の特殊な合金を使って、銅鐸、銅鏡、銅銭(和同開珎、富本銭)のミニチュア作りが体験できます。

    受付は実施日当日(事前予約不可)。日程や時間などの詳細は、歴博の公式サイトでご確認ください。


    金属器の鋳造体験

    一般的な企画展は、学術的に定まっている事象を分かりやすくまとめて見せるものですが、本展は「定まっていない」という状態そのものを見せる企画。「調査研究機能を持つ大学共同利用機関」という位置づけがある歴博ならではの企画展です。歴史的な事象も、調査・研究は現在進行形で進んでいるのです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年7月14日 ]

    〈新〉弥生時代: 五〇〇年早かった水田稲作

    藤尾 慎一郎 (著)

    吉川弘文館
    ¥ 1,944


    ■弥生ってなに に関するツイート


     
    会場
    会期
    2014年7月15日(火)~9月15日(月)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで) (3~9月)
    9:30~16:30(入館は16:00まで) (10~2月)
    休館日
    月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
    住所
    千葉県佐倉市城内町117番地
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.rekihaku.ac.jp/
    料金
    一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /
    小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体 

    ※総合展示もあわせてご覧になれます。 
    ※毎週土曜日は高校生は入館無料です。
    展覧会詳細 「弥生ってなに?!」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    松山市立子規記念博物館 学芸員募集中! [松山市立子規記念博物館]
    愛媛県
    東山旧岸邸 正社員・契約社員 募集! [東山旧岸邸]
    静岡県
    国⽴国際美術館 研究補佐員(教育普及室)募集 [国立美術館]
    大阪府
    国立工芸館 経営企画・広報渉外担当研究補佐員募集 [国立工芸館]
    石川県
    令和7年10月1日付採用 栃木市職員募集! [栃木市]
    栃木県
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで
    開催中[あと29日]
    2025年3月11日(火)〜6月8日(日)
    2
    アーティゾン美術館 | 東京都
    クロード・モネ -風景への問いかけ
    開催まであと273日
    2026年2月7日(土)〜5月24日(日)
    3
    東京国立博物館 | 東京都
    イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~
    開催中[あと85日]
    2025年3月25日(火)〜8月3日(日)
    4
    TOKYO NODE | 東京都
    デザインあ展 neo
    開催中[あと136日]
    2025年4月18日(金)〜9月23日(火)
    5
    東京都美術館 | 東京都
    ミロ展
    開催中[あと57日]
    2025年3月1日(土)〜7月6日(日)