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レポート
日本の科学者技術者展シリーズ 第11回 渋川春海と江戸時代の天文学者たち
国立科学博物館 | 東京都
小説や映画にもなった、日本で最初の天文学者
天体観測に基づいて、日本で初めて独自の暦(こよみ)を作った渋川春海(1639-1715)。日本で最初の天文学者ともいわれる渋川春海の没後300年にあたる今年、その業績や人物像を紹介する企画展が国立科学博物館で開催中です。
《天文大意録》鳳晴堂光正著 1826年頃
天文図の数々
《望遠鏡》森仁左衛門作
《御預り測器類上屋雛形》
《浅草天文台の測量台》
《渾天儀(複製)》藤広則作 1776年
《暦巻き取り機》江戸時代後期
会場入口から
2010年に本屋大賞を受賞した冲方丁さんの小説「天地明察」の主人公としても知られる、渋川春海。幼い頃から学問が好きで、京都と江戸を往復しながら勉学に励みました。

当時使われていた暦は、平安時代から800年以上使われていた宣明暦。長年の使用で誤差が増え、日食や月食が予報どおりに起きないなど問題が増えていました。

星の位置を調べる事は、正確な暦を作る第一歩です。渋川春海は天体の観測を重ねて、ついに新しい暦「貞享暦」を作成。精度が高いこの暦は正式に採用され、幕府が新たに設けた天文方(公式に暦を編纂する役)に就任しました。

会場には渋川春海が作った天球儀(重要文化財)や、さまざまな天文図などが紹介されています。


ZONE 1「渋川春海とその時代」

重要文化財という事もあり、気軽に触る事ができない渋川春海の天球儀に代わって、擬似的に回して楽しめる装置も用意されました。トラックボールを使って天球儀を回すと、北斗七星などのお馴染みの星座を見つける事ができます。

「昴(すばる)」、「織女(おりひめ星)」など現在でも使われる名前もあれば、「太宰府」など渋川春海が作った日本独自の星座も。トラックボール横のボタンを押すと、星座の名前が表示されます。


渋川春海の天球儀が楽しめます

江戸時代の天文学者として忘れてはならないのが、8代将軍徳川吉宗。享保の改革で幕府を立て直した吉宗は自然科学全般に対して関心が高く、自らも実用的な観測装置を考案し、天体観測を行っています。

会場には、吉宗が長崎の眼鏡師・森仁左衛門に作らせたと思われる、長さ3.4mの巨大な望遠鏡も展示。また神田佐久間町、牛込、浅草などにあった江戸時代の天文台についても紹介されています。


ZONE 2「天文学者 徳川吉宗」

展示後半は、江戸時代中後期の天文学者について。高精度の観測器具を開発した間重富、精度が高い寛政暦を作った高橋至時は、ともに麻田剛立の弟子。伊能忠敬は高橋至時の元で測量を学んでいます。

高橋至時の長男である高橋景保は翻訳でも活躍。次男の渋川景佑は、世界で最も正確な太陰太陽暦だった天保暦を完成させています。

会場最後には、旧暦(太陰太陽暦)を作れるコーナーも設置されました。新月から、次の新月の前日までがひと月になりますが、平均して29.5日しかないため、ずれが大きくなると閏月を入れます。ただ、入れてよい場所は「中気」が入らない月と決まっており…。詳しい解説は会場でご覧ください。


ZONE 3「高橋至時と市井の天文学者たち」、ZONE 4「高橋景保と渋川景佑」

現在の暮らしは新暦(太陽暦)が使われているため、渋川春海の研究との繋がりはありません。ただ、300年以上も前でも真摯に学問に取り組んでいた姿勢は、今を生きる私たちの胸にも響いてきます。

企画展自体の規模は決して大きくありませんが、科博では常設展でも江戸時代の天文学について紹介を行っています(企画展会場すぐ向かいの日本館1F南側と、地球館2階)。あわせてお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年12月18日 ]

江戸の天文学 渋川春海と江戸時代の科学者たち江戸の天文学 渋川春海と江戸時代の科学者たち

中村 士 (監修)

角川学芸出版
¥ 1,512

 
会場
会期
2015年12月19日(土)~2016年3月6日(日)
会期終了
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
※当面の間、常設展示の夜間開館(金曜日・土曜日 17:00~20:00)は休止いたします。
休館日
毎週月曜日、12月28日(月)~1月1日(金・祝) 月曜日が祝休日の場合は翌火曜日 ただし1月4日(月)は開館
住所
東京都台東区上野公園7-20
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.kahaku.go.jp/event/2015/12shibukawa/
料金
一般・大学生:620円 (20名以上の団体は310円)
高校生以下・65歳以上:無料
展覧会詳細 渋川春海と江戸時代の天文学者たち 詳細情報
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