展覧会概要

愛知県の岡崎市美術博物館(以下、美博)で、「マイセン動物園展」が始まりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、見に行こうと思っていた多くの展覧会が延期や中止になったので、久しぶりの展覧会です。
マイセンと聞くと白磁の高級食器をイメージするのですが、今回は食器ではなく、動物をモチーフにしたリアルで愛らしい作品が展示されています。しかも、その内の約90%が初公開なので、マイセンのイメージを広げる貴重な機会になるでしょう。
展示室にて
<第1章 神話と寓話の中の動物>

《人物像水注「四大元素の寓意」》ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 1820-1920年頃 個人蔵
展示室に入り、すぐに目を引かれたのが、《人物像水注「四大元素の寓意」》です。それぞれ「地」、「空気」、「火」、「水」をテーマにした作品です。彫刻のように、周囲を360度見ることができるので、ぜひ裏側も見て下さい。
<第2章 器に表された動物>

《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー 1820-1920年頃 個人蔵
この章では、スノーボールで飾られた多くの器を見ることができます。どの作品も多くの手間と時間をかけて作られていますが、特に《スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺》は必見です。上部に置かれた鳥の他、よく見るとクワガタムシやカエルもいます。さらに、格子状の透かしの奥にも鳥がいます。
<第3章 アール・ヌーヴォーの動物>

《四羽のオウサマペンギン》エーリッヒ・オスカー・ヘーゼル 1924-1933年頃 J's collection
展覧会タイトルにある動物園の雰囲気が一番出ている展示室です。犬や猫の他に、ライオン、象、キリン、ペンギンなども並んでいます。ちなみに、展覧会担当者のお気に入りはキリンだそうです。

《二頭のキリン》オットー・ピルツ 1907-1923年頃 J's collection
<第4章 マックス・エッサーの動物>

《カワウソ》-マックス・エッサー 1927年 個人蔵
この章では、展示作品の雰囲気がガラリと変わります。第3章までのカラフルな作風から、備前焼や常滑焼のような、素焼きの特徴が見て取れる作風になります。
こちらの《カワウソ》は、当時のパリ万博でグランプリをとったものと同じ型から作られているそうです。しっぽの毛並みの細かさがよく表現されています。
担当者によれば、夏休みが始まったこともあり、親子連れの来場者が多いそうです。
美博の展示が終わった後は、岡山県立美術館(2020年12月4日から2021年1月31日)に巡回するそうです。こちらは、ちょうど冬休みというわけですね。
閑話休題

同じ時期に岡崎市旧本多忠次邸で開催される「はじまりのマイセン」展(2020年8月1日から8月30日)をご紹介します。(左から2枚目のポスター)
美博の前後に、ぜひハシゴしてみてはいかがでしょう。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2020年7月26日 ]
エリアレポーターのご紹介 | ひろ.すぎやま 近現代美術、演劇、映画をよく見ます。 作品を見る時は、先入観を避けるため、解説などは後から読むようにしています。 折々に、東海エリアの展覧会をレポートしますので、出かけていただく契機になれば幸いです。
名古屋市美術館協力会会員、あいちトリエンナーレボランティア。 |
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