ルドン−秘密の花園

16点の装飾画が一堂に

フランス象徴主義を代表する画家、オディロン・ルドン(1840-1916)。同時代の印象派には目を向けず、幻想的な内面世界を追及し、独自の世界を進みました。ルドンが描いた植物に焦点をあてた展覧会が、三菱一号館美術館で開催中です。

  • 《人物(黄色い花)》1900-1901年 / 《花とナナカマドの実》1900-1901年 / 《黄色い背景の樹》1900-1901年 すべてオルセー美術館
  • 《青空の下の木》1883年頃 ニューヨーク近代美術館(MoMA) / 《ペイルルバードの小道》制作年不詳 オルセー美術館
  • 『夢のなかで』Ⅴ.賭博師 1879年 / 『夢のなかで』表紙=扉絵 1879年 ともに三菱一号館美術館
  • 《黄色い背景の樹》1900-1901年 / 《黄色い花咲く枝》1900-1901年 ともにオルセー美術館
  • 《グラン・ブーケ(大きな花束)》1901年 三菱一号館美術館蔵
  • 『起源』表紙=扉絵 1883年 / 『起源』II.おそらく花の中に最初の視覚が試みられた 1883年 ともに岐阜県美術館
  • 《オジーヴの中の横顔》制作年不詳 ボルドー美術館(オルセー美術館より寄託) / 《ステンドグラス》1907年頃 ニューヨーク近代美術館(MoMA)
  • 《日本風の花瓶》1908年 ポーラ美術館 / 《首の長い花瓶にいけられた野の花》1912年頃 ニューヨーク近代美術館(MoMA) / 《青い花瓶の花》 1912-1914年頃 ひろしま美術館
  • 《タピスリー用下絵(座面)》1910年 / 《タピスリー用下絵(背もたれ)》1910年 / ロラン・ルスタン(ルドンの下絵に基づく)《ひじ掛け椅子》1911-1913年 すべてモビリエ・ナショナル

特異な画業は注目を集め、日本では明治時代から受容されていたルドン。ただ、植物をテーマにしたルドン展は珍しい試みです。

展覧会は8章構成で、第1章「コローの教え、ブレスダンの指導」から。ルドンは遅咲きで39歳でデビュー。初期にはコローによる助言や、版画家のブレスダンに技術を教わり、さまざまな技法を試していきます。

第2章は「人間と樹木」。ルドン作品にしばしば登場する老木。アポロンやオルフェウスなど、空想上の人物の傍らに描かれます。

第3章は「植物学者アルマン・クラヴォー」。ルドンは10代で出会ったクラヴォーに導かれて、肉眼では見えない世界への関心を深めました。

第1章~第3章


展覧会を通して最大の注目が、第4章「ドムシー男爵の食堂装飾」。三菱一号館美術館が所蔵する《グラン・ブーケ(大きな花束)》をはじめ、ドムシー男爵の食堂を飾っていた16点の装飾画が揃いました。

ドムシー男爵は、フランス・ブルゴーニュ地方に居を構えていた美術愛好家。《グラン・ブーケ》のみパステル画で、他の15点はデトランプ(薄くのばした油絵具を広げたうえに、卵や膠を使う技法)で描かれています。

食堂には出入口のほか窓や暖炉があるため、壁画の形状は横長や縦長など様々。配置図によると《グラン・ブーケ》は入って右手の壁面、窓と窓の間に配されていました。

会場では3階と2階に分けて全16点を展示。全点が揃うのは日本で初めてです。

第4章「ドムシー男爵の食堂装飾」


第5章は「『黒』に棲まう動植物」。科学やその周辺の理論に特別な関心を抱いていたルドン。ただ、作品のモチーフは定義されていない事が多く、その解釈は鑑賞者側に委ねられます。

第6章は「蝶の夢、草花の無意識、水の眠り」。ルドンはアカデミーでジャン=レオン・ジェロームの教えに不満を持っていましたが、この時代の鍛錬は後年の作品に生かされています。

第7章「再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな」は、花瓶の花に囲まれる華やかな展示室。初期から描かれたモチーフですが、晩年には特に増えました。花瓶に日本の役者が描かれているものもあります。

最後の第8章は「装飾プロジェクト」。前述のドムシー男爵の食堂装飾から、ルドンは個人の装飾画の注文を多く受けるようになります。ルドンが下絵を描いた椅子や衝立、そして4曲の屏風などが展示されています。

第5章~第8章


深淵なルドンの世界観は、三菱一号館美術館の重厚な雰囲気と相性バッチリ。会期は長めですが、お早目にどうぞ。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年2月7日 ]

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料金一般当日:1,700円
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会期

2018年2月8日(木)~5月20日(日)