鳥羽志摩、昭和の海景

    海女のまなざし

    鳥羽市立海の博物館 | 三重県

    1971(昭和46)年の開館以来、海の博物館は、海女について広く深く調査、研究してまいりました。海女の漁法のみならず、その習俗、慣習、風習など多岐にわたります。それらの調査の過程で撮りためてきた写真や映像資料は30,000点を超え、その大半が三重大学海女研究センターによりデジタルアーカイブ化されました。なかには博物館の学芸員だけでなくプロ、アマ問わず外部の写真家が撮った写真も含まれています。 そこで、アーカイブ活用の一端として、写真集を発行することになりました。若いデザイナーの目を通して、海女の内面の美しさや人間的な豊かさをより視覚的に伝える一冊を制作しました。これまで博物館が文字を使って海女を伝えてきたものとは一線を画します。博物館所蔵資料から抽出し、海女だけをまとめた写真集はこれが初めてです。 写真集発行を記念し先行的に写真展「海女たちのまなざし~鳥羽志摩、昭和の海景」を開催します。写真集に掲載される写真から視覚的により訴える写真約40枚を展示します。写真は、昭和時代のものが中心で、白いイソギを着る海女さんの姿、木造船をあやつるトマエ、藁で囲われた海女小屋、海女たちと過ごす子供たち、当時の景色は約半世紀を過ぎた今も、海女自体に大きな変化をもたらしていないことへの新鮮さや、今の時代にとって大切なものがあるのではないかということを伝えています。海女さんを取り巻く海の環境は、大きく変わってきています。最近では、資源の枯渇による収入減も大きな問題です。ただ、海女さんはそんな環境の変化に臆することなく、たくましく生きています。半農半漁、民宿を営んだり、観光海女として活躍したり多様な生き方ができるのも海女の生き方の魅力の一つです。 海女にとって大切なことは、漁の安全であり、アワビやサザエがたくさん獲れることであり、海女小屋でのおしゃべりや子供達が元気に育つこと。自然相手に生きる海女たちのあり方はぶれることはありません。水中での過酷な作業とは裏腹に、「海が好き、漁が好き、好きのことをして稼げるのが楽しい」と笑顔を見せる海女たち。とても真似できませんが、自分たちの仕事に誇りを持ち、我が道を堂々と歩む海女を羨ましくも思います。 今回の写真集、写真展は、海女に関する博物館活動のほんの一部ですが、今後も海女さんを身近に感じられる環境に感謝しつつ、海女さんたちを追い続けたいと思っています。そして、皆様には、志摩半島が豊かで大らかであった時代の海女たちに思いを馳せていただければ幸いです。
    会期
    2025年10月4日(土)〜2026年1月12日(月)
    開催中[あと40日]
    開館時間
    10月4日~11月30日9時~17時
    12月1日~1月12日9時~16時30分
    料金
    入館料 大人800円、学生400円
    休館日 12月26日~12月30日
    公式サイト http://umihaku.com/
    会場
    鳥羽市立海の博物館
    住所
    〒517-0025 三重県鳥羽市浦村町大吉1731-68
    0599-32-6006
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