元来このポスター・コレクションは、株式会社竹尾が創業100周年記念事業の一環としてニューヨークのラインホールド-ブラウンギャラリーから購入したものでした。このコレクションの生みの親であるギャラリー・オーナーのスーザン・ラインホールド、ロバート K.ブラウン両氏によって長い歳月をかけて集められたポスターは、ドイツやスイスで制作されたものが中心となっていますが、それらを含むヨーロッパ、アメリカ、旧ソ連、そして日本のものも数多く見られます。特に第2次世界大戦後の欧米のグラフィック・デザインの動向を知る上で非常に重要な作品も数多く含まれています。多摩美術大学ではそれらの寄託を受けて以来、本学教員を始め、学外の研究者諸氏からなるプロジェクト・チームを結成し、様々な調査研究活動を重ねてきました。その成果として、華やかな名作ポスターで巡る『20世紀ポスターデザイン』展(2001年5月・伊勢丹美術館)、バウハウスからスイス派への構成的ポスターの動向を紹介する『現代ポスターの主潮流とその周辺』展(2001年1月・多摩美術大学美術館)、ニューグラフィックデザイン運動を牽引したスイス派の巨匠を紹介する『リヒャルト・パウル・ローゼ』展(2003年・多摩美術大学美術館)を関連的に開催してきました。平成17年度からは当館内に「竹尾ポスターコレクション室」を開設する予定です。膨大なポスター・コレクションのごく1部分ずつではありますが、このような展覧会を通して、その研究成果を今後も継続的に報告・紹介する場としたいと考えます。